2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of fruiting body formation of edible mushroom Auricularia polytricha at high temperature
Project/Area Number |
21K05713
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
高畠 幸司 琉球大学, 農学部, 教授 (50446621)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | アラゲキクラゲ / 子実体形成 / 培養温度 / バーベンダム反応 / 菌株 |
Outline of Annual Research Achievements |
高温耐性菌株(Ap-069, Ap-070),通常菌株(M89)について,子実体形成試験,菌糸体培養試験,バーベンダム反応試験を実施した。菌糸体培養温度、子実体発生温度に関して,それぞれの相互作用について詳細に検討した。 バーベンダム反応試験では,基質をタンニン酸で実施した。高温耐性菌株(Ap-069, Ap-070)と通常菌株(M89)は,同様の傾向を示し,培養温度が高くなるにつれて発色が強くなる傾向を示した。培養温度が30℃を超えると極端に菌糸体伸長量は低下するが,バーベンダム反応はより強く現れた。 子実体形成試験では,供試培地にスダジイ・フスマ培地を用い、培養ポット(直径80mm、高さ100mm)に供試培地を80g詰め,22℃,25℃,28℃,31℃で暗培養し,菌糸体が培地全体に蔓延後、さらに10日間の熟成培養を行った。その後,22℃,25℃,28℃,31℃,34℃,照度約500luxの条件下で子実体形成を促した。子実体原基,子実体形成に要する日数,子実体原基の個数,子実体収量を測定した。 培養温度22℃では,AP1-069での発生温度22℃,25℃,28℃,AP1-071の発生温度22℃,M89の発生温度22℃において子実体形成が認められた。しかし,これら以外の条件では子実体形成は認められなかった。培養温度25℃,28℃では,全ての菌株で子実体形成が認められた。子実体形成は発生温度22℃,25℃,28℃,31℃で認められたが,好適な子実体発生温度域は菌株に応じて異なった。培養温度31℃では,AP1-069において発生温度22℃,25℃,M89において発生温度22℃で原基形成が認められるのみで,他の条件では子実体形成は認められなかった。以上より,アラゲキクラゲの子実体形成に関して,培養温度が子実体形成の発生温度に大きく影響することが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アラゲキクラゲの高温耐性株子実体は形態的特徴(Subcompacta層,Medulla(髄)層,Subcompacta inferioris層の割合が高く,背毛密度が高く,背毛長が長いこと)を有することを明らかにした。 また,菌床培地におけるアラゲキクラゲの子実体形成は、培養温度が子実体形成の発生温度に大きく影響することが明らかにした。適正な温度で培養すると子実体形成の発生温度域が広くなること,培養温度が適正温度よりズレると子実体の発生温度が狭くなること,特に高温度域にズレると顕著に影響することを明らかにした。培養温度と子実体発生温度域は密接に関連していることを明らかにした。さらに子実体形成に及ぼす培養温度の影響については,実大規模培地での実験を実施し,データーをまとめているところである。 これらのことから,アラゲキクラゲの高温耐性株の特徴,個別の要因を明らかにしつつあり,本研究課題の取り組みは概ね順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
アラゲキクラゲの高温耐性株について,子実体形成に及ぼす培養温度の影響を小規模培地並びに実大規模培地での結果を解析して菌株毎の特性を明らかにする。バーベンダム反応に関して,基質としてABTS(2-2’アジノビス(3-エチル-2,3-ジヒドロベンゾチアゾール-6-スルホン酸アンモニウム),ジメトキシフェノール,グアヤコール,カテコールを用い,培養温度, pHがラッカーゼの発現に及ぼす影響を明らかにする。 これらよりアラゲキクラゲの高温耐性菌株の特徴,要因を明らかにする。要因に基づき,アラゲキクラゲ菌株の高温耐性に関する類別化をはかる。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍並びに前年度の実験室,研究室の引越により,前年度に当初の予定通りに実験を実施することが出来なかったことが影響した。しかしながら,本年度は前年度をカバーして実験を遂行し,概ね当初計画通りに実施できた。
|