2023 Fiscal Year Annual Research Report
Process for adsorbing and removing harmful paramagnetic metal ions using iron-loaded charcoal based on reverse Moses effect
Project/Area Number |
21K05714
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
山内 繁 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (30279509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 栄 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 准教授 (50404851)
栗本 康司 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (60279510)
山ギシ 崇之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 技術職員 (60723830)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 逆モーゼ効果 / 金属担持木炭 / 遷移金属イオン / 吸着 / グラファイト様構造 / ラマン分光法 / メスバウアー分光法 / 粉末X線回折法 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、申請課題に沿った2つのテーマを軸に研究を進めた。ひとつは鉄担持木炭による水溶液中遷移金属イオン(3d-金属元素)及びCsイオンの吸着機構の検討であり、もうひとつは不活性ガス中での木材炭化において、担持させた遷移金属元素が有する炭素結晶化触媒能の評価である。 前者では、800℃で合成したスギ木炭で、鉄担持によりCsイオンへの吸着能増加が確認された。600℃以下では、解離した表面水酸基数が金属イオン吸着の支配因子であることを報告していたが、800℃炭化木炭では水酸基はほとんど無いため、鉄担持木炭(水溶液と接触している木炭中金属鉄微粒子)の表面電位が、吸着能増大に寄与していると推定された。また、遷移金属イオンでは、価数が大きいほど鉄担持木炭に吸着されやすい傾向が認められ、木炭の表面電位が金属イオン吸着能に寄与することが支持された。一方で、磁化(着磁)した鉄担持木炭を吸着媒として用いても、金属イオンのスピン数(不対電子数)は、吸着量に有意の効果を与えなかった。したがって、逆モーゼ効果を利用し、スピン数によって金属イオンを選択的に吸着するには、より強い磁力を有する物質を木炭中に分散さねばならないことが示唆された。 後者では、鉄族元素(Fe, Co, Ni)担持木炭の炭素結晶化を、ラマン分光法とXRDを使用して詳細に検討した。いずれの鉄族元素も600℃以下でゼロ価への還元が起こるが、650℃以上でなければ炭素結晶化は観測されなかった。また、CoとNiではラマン分光法とXRDでは観測される炭素結晶化開始温度が大きく異なっており、グラフェン様構造の成長に及ぼす影響が金属元素で異なることを報告した論文が、英文誌にアクセプトされている。このほか、メスバウアー分光法等を用いて、炭化温度による木炭中鉄化学種の変化を詳細に把握できたことが、基礎科学面での成果である。
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