2021 Fiscal Year Research-status Report
魚病ウイルスVLPワクチン開発とそれを足場としたワクチン分子設計の技術基盤構築
Project/Area Number |
21K05728
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
玉城 志博 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (00720822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新川 武 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (50305190)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 魚病ワクチン / 魚病ウイルス / ウイルス様粒子(VLPs) / 分子設計 / 分子足場(scaffold) |
Outline of Annual Research Achievements |
魚病ウイルス(特許申請前につきウイルス名は秘匿としています)に対し、大腸菌発現によるウイルス様粒子(Virus-like particles: VLPs)ワクチンを開発する。 現行の魚病ワクチンの多くは不活化ワクチンであり、ウイルスを株化細胞等で増殖させ、ホルマリン等で不活化するため高価になりがちである。しかし、我々が開発中のVLPsワクチンは、大腸菌発現系で大量に製造可能なため、製造コストを大幅に抑えることができ、これまでコスト的な問題で適応が難しかった多くの魚類ウイルス感染症や海外での使用拡大も可能となる。 本年度は、構築方法を確立した大腸菌発現VLPs抗原の簡易的かつ純度の高い精製法を検討した。限外ろ過やポリエチレングリコール(PEG)沈殿法などを用いて検討した結果、分子量カットオフ(MWCO)値の大きな透析膜を利用した透析法が最も効率的に精製できることが分かった。次に、よりVLPs抗原の発現レベルを向上させるため、VLPs抗原に分子改変を施した。その結果、同条件で大腸菌発現させたところ、その発現レベルは改変前と比べて優位に向上した。よって、今後VLPs抗原および分子改変VLPs抗原の両方を用いてVLPsワクチンとしての効果検証を進める。また、前記VLPs抗原の分子構造的特性に着目し、本来VLPs形成が困難な他の魚病ウイルスに対し、VLPsを模倣した粒子状構造(「疑似ウイルス様粒子(Pseudovirus-like particles: PVLPs)」)の開発に着手し、種々の分子設計を施したコンストラクトを作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度計画していた大腸菌発現VLPs抗原の精製法の検討ならびにVLPs抗原の大腸菌発現レベルを向上させるための分子設計およびその分子設計による発現レベルへの影響を検討することができた。また、来年度実施予定にしていたPVLPsを分子設計し、それらのコンストラクトを準備することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度検討したVLPs抗原の精製法をさらに高め、より簡易的かつ高純度に精製できる方法を見出す(担当:玉城)。また、VLPs抗原および発現レベルが向上した分子改変VLPs抗原のワクチン効果を検証する。すなわち、これら2つの抗原を試験魚へ投与し、抗体応答を解析すると同時に、ウイルス攻撃後の症状や致死率等を解析する(担当:玉城、国内製薬企業との共同研究として実施)。次に、本年度構築したPVLPsコンストラクトを用いて、大腸菌で発現させ、その生化学的解析を進める(担当:玉城)。さらに、PVLPsの生化学的解析結果に基づき、さらなる分子設計を実施する(担当:新川、玉城)。
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Causes of Carryover |
3月のみ技術補佐員を雇用しており、正確な人件費の算出が困難であったため、その人件費支払いのために予算を多めに残しておいたことから、次年度使用額が生じた。本年度購入希望していた試薬類を翌年度に繰り越される次年度使用額で購入する。
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