2022 Fiscal Year Research-status Report
全国主要漁場における養殖マダイ逸出の分子遺伝学的調査
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21K05730
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
澤山 英太郎 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (70846071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 基裕 愛媛大学, 南予水産研究センター, 教授 (70335892)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マダイ / 養殖 / 逸出 / 一塩基多型 / 集団構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に開発した一塩基多型(SNP)パネルを用い、わが国沿岸で漁獲されたマダイの集団構造解析を行うとともに、逸出状況のモニタリングを行った。 まず、日本各地で漁獲された天然マダイ7集団(青森、兵庫、三重、和歌山、高知、長崎、熊本)、養殖マダイ5集団の計12集団について、それぞれ21~53個体の尾鰭からDNAを抽出し、249個の遺伝子座をマルチプレックスPCRにより増幅した。得られたPCR産物はインデックス配列を付与後、MiSeqにより配列情報を取得した。得られた塩基配列中のSNPを用いて集団遺伝解析を行うことで、遺伝的多様性や遺伝的集団構造を推定した。 SNPパネルをマルチプレックス増幅し、MiSeqで塩基配列を取得した結果、198個の高品質なSNPが得られ以降の解析に用いた。各集団の近交係数を求めたところ、天然集団は0.000~0.053の値を示したのに対し、養殖集団では負の値(-0.014~-0.107)を示した。マンテル検定によると、天然集団の地理的距離と遺伝的距離に相関は見られなかった(r2=0.004)。デルタKおよびLnP(K)を指標に遺伝的集団構造を推定したところ、天然集団は1つのグループとして識別された。しかしながら、DAPC解析では高知集団が他の天然集団と比べて養殖集団と遺伝距離が近いことが確認された。 逸出個体の出現頻度を調べたところ、高知浦ノ内湾で13.2%、三重南伊勢で2.1%の割合で逸出個体が認められた。なお、他の地点では逸出個体が確認されなかったが、漁獲する時期や漁法、漁場による違いが影響している可能性も否定はできない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた太平洋側のマダイ集団において全ての個体の解析が終了した。それに加え、次年度に予定していた日本海側のマダイについても予定していた個体の解析が終了した。以上のことから、「当初の計画以上に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
養殖集団については当初の予定よりも解析集団と解析個体が不足している。すでに必要なサンプルは入手しているため、次年度は養殖集団のジェノタイピングを進めていき、養殖マダイ集団のSNP情報を蓄積していきたいと考えている。また、リファレンスゲノムの改良にも取り組み、養殖集団において選抜を受けている遺伝領域を特定する予定である。
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