2023 Fiscal Year Research-status Report
植物プランクトン―共生細菌の相互作用を利用した湖沼水質管理手法の検討
Project/Area Number |
21K05737
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
程木 義邦 中部大学, 応用生物学部, 准教授 (60632122)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 植物プランクトン / phycosphere / 富栄養化 / 湖沼水質管理 / 細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物プランクトンは細胞外に有機物を排出し、細胞や群体の周りにphycosphereを形成する。植物プランクトン-共生細菌の相互作用を利用した湖沼水質管理手法の可能性を検証するため、本研究では、湖沼植物プランクトンのphycosphereに共生する細菌の多様性とその相互作用を明らかにする。2021年度は、富栄養化した湖沼を対象とし優占する植物プランクトンの種ごとにphycosphereに存在する細菌群集組成とその季節変化を調べ、細菌組成の種特異性や頑健性から、植物プランクトンと細菌の共生系の多様性評価や共進化の可能性の検証を目的とした。新コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言により継続的な調査の開始が遅れ、2021年10月より愛知県のため池を対象として定期調査を行ったが、その後、これまでに用いていた手法だと安定した結果が得られないことが分かり、2022年度と2023年度には、定期調査を継続とともに、植物プランクトン細胞の拾い出しとサンプルからのDNA抽出法の再検討を行った。しかし、現時点までに十分な再現性が得られておらず、細菌組成の解析をするための十分なPCR産物が得られないサンプルが多い。そのため、これまでに解析したデータでは、植物プランクトンの分類群ごとの細菌組成の比較や湖沼での細菌群衆の経時変化をみられるほどのデータが得られていない。これらの研究の状況と、初年度からの研究の進捗の遅れもあることから、補助機関延長申請を行い2024年度も引き続き研究を行うこととした。これまでに得られたデータより、共生関係を持つ細菌の系統が多く検出される植物プランクトンの分類群が見られたこと、また、検出された原核生物の多くは真正細菌であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言により、初年度より定期調査の開始が遅れたことと、手法の再検討が必要となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、調査対象としているため池で定期的にサンプリングをするとともに、複数の湖沼でもサンプリングと解析を行い、植物プランクトンの分類群ごとの共生細菌組成を比較評価ができるよう調査計画を見直す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスのまん延等により、調査や研究の開始が遅れたこと、また、当初確立した分析手法の再検討が必要となったため、補助機関延長申請を行い2024年度も引き続き研究を行うこととした。繰り越された研究費は、細菌群集解析のためのアンプリコンシーケンス解析に用いる。
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