2021 Fiscal Year Research-status Report
ニホンウナギの接岸量変動に影響する中期的要因の解明
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21K05751
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
篠田 章 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70401297)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ニホンウナギ / シラスウナギ / 接岸量 / 接岸回遊 |
Outline of Annual Research Achievements |
神奈川県の相模川河口において,2021年12月から2022年3月までの期間にシラスウナギ来遊調査を行った。これらのサンプルは今後解析に供する。 2009年11月から2022年1月の10年間以上にわたり相模川の河口で実施されたシラスウナギの来遊量調査の採集データおよび標本を解析した。まず,採集されたシラスウナギ(n=2,058)の全長を年ごとに比較した。解析した標本はニホンウナギ(n=2,053)とオオウナギ(n=5)に分類された。ニホンウナギの全長は49.5-67.3 mm で,体表色素の発達段階はVA-VIBであった(n=2,049)。計11年級群間の全長には有意差が認められたものの,種子島の接岸群で見られたような長期的な変化はなかった。 2018年12月(2018年級早期群),2019年11月(2019年級早期群)および2020年の3月(2019年級晩期群)に採集されたシラスウナギの初期生活史を解析した。2018年級早期群および2019年級早期群の接岸日齢はそれぞれ161.3 ± 16.9日と158.8 ± 10.2日,変態開始日齢は114.8 ± 14.0日と116.4 ± 11.5日であり,いずれも年級群間で有意な差は認められなかった。また,孵化月は共通して5月下旬から7月中旬にかけてであった。2019年級群の11月と3月接岸群を比較した結果,晩期群(n=9)の接岸日齢と変態開始日齢はそれぞれ157.1 ± 16.3日および110.7 ± 14.6日であり,早期群との間に有意な差は認められなかった。晩期群の孵化月は9月下旬から11月中旬であった.2018年級群で秋以降に生まれた個体はエルニーニョの影響で,無効分散した可能性がある。一方,2019年級群はエルニーニョが収束した5月下旬から11月中旬にかけて生まれ,黒潮に乗り換えて東アジア一帯に輸送されたものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初4月から予定していた相模川の調査開始が,COVID-19の感染拡大のため12月まで遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も伊原川河口と相模川河口でのシラスウナギ接岸量調査を行い,初期生活史推定を進める。
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Causes of Carryover |
Covid-19の感染拡大の影響により,相模川の調査開始が遅れたこと,種子島への研究打合せを見合わせたことで旅費が予定額を下回った。繰り越した助成金は,次年度請求分と合わせて消耗品の購入に充てる予定である。
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