2021 Fiscal Year Research-status Report
Assessment of fish damage by means of electrocardiogram recorded by a bait without human handling
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21K05753
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小島 隆人 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60205383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 英登 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (60466307)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 魚類心電図 / すり身電極 / インピーダンス / CGSA法 |
Outline of Annual Research Achievements |
イカ類を始めとした軟体動物は,硬骨魚類よりもその筋肉組織のインピーダンスが低いことが過年度までの研究の結果明らかとなっていた。本研究ではまず,海産魚類の味覚が,塩に対して鈍感であることを利用して,イカを原材料としたすり身に過剰な塩分を添加し,さらにアミノ酸も加えた生体電極の作成を試みた。その結果,塩分を過剰に添加したイカすり身のゲル化は可能であるとともに,塩分を含んだすり身は,従来のイカの外套膜よりもさらに低インピーダンスとなることが判明した。一方,アミノ酸も添加された生体電極を底生魚類の一種であるアカハタは好んで捕食し,その結果,約3分間にわたる人間の手を介していない心電図記録にも成功した。この手法を,水温変化による魚類の心拍数変化に適用することとし,低水温→常温→高温の環境下におけるアカハタの心拍数変化が,自発的に捕食した生体電極を介して記録した心電図から測定し,それぞれ18.4±0.17,43.7±0.08および61.9±0.07拍/分となり。本手法による心電図計測が,水温変化による魚類の心拍数変化を的確に表すことが確かめられた。さらに,高温時に受けていると思われるストレスが,周波数分析結果にも反映されていると推測された。心電図の周波数分析については,引き続き,より少ないデータ数で結果を導く手法について検討中である。初年度の結果を受け本年度は,対象魚に音および振動を与えた際の影響評価を本手法により行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の推測通り,イカ類を用いたすり身に塩を添加してもゲル化は可能であり,これに対象魚が好むアミノ酸も併せて添加することにより嗜好性を高め,さらに魚が捕食しやすい形状に成型することで,心電図導出用生体電極を作成可能となった。過年度,イカの切身を用いた心電図記録では,その記録時間が1分に満たなかったのに対して,本研究では3分を超える心電図記録が可能となっており,長時間の心電図記録によって,その周波数分析も精度が高まることになっている。本研究ではFFT解析のみでは抽出が困難なフラクタル成分を,CGSA法など,各種の分析手法を適用することにより抽出が可能となり,自律神経系の緊張状態推定にも適用可能なことが判明している。
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Strategy for Future Research Activity |
イカ類のすり身に塩分を添加することで,低インピーダンスでかつ,魚の嗜好性の高い生体電極が作成できたことから,これを用いた各種の刺激,特に水中騒音によって魚が受けているストレス判定に本手法が適用可能であるかを,本年度以降の実験により明らかにしていきたい。導出された心電図については,心拍数の時系列のみならず,波形データを直接周波数分析しても,CGSA法を用いることにより,含まれるフラクタル成分の比率を計算可能となっていることから,ストレスの程度をフラクタル成分比で表すことが可能であるかについても,今後の実験で検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
生体電極作成時の消耗品価格の変動,および新型コロナ禍による外部での実験に制約を受けたため,旅費が若干減少したため,この差額を次年度に繰り越して消耗品購入に充てたい。
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