2021 Fiscal Year Research-status Report
The impact of feeding ecology of snapping turtle on inland fisheries, analyzed in terms of feeding damage, competition, and fish disease
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21K05754
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高井 則之 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00350033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間野 伸宏 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (10339286)
柴崎 康宏 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (30750674)
桑江 朝比呂 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (40359229)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 外来生物 / アメリカザリガニ / 摂餌生態 / 食害 / 胃内容物 / DNA分析 / 安定同位体比 / コイヘルペス |
Outline of Annual Research Achievements |
カミツキガメの摂餌生態が内水面漁業に及ぼす影響を検討するため,千葉県印旛沼流域で捕獲されたカミツキガメの摂餌生態を調べた.2021年5-10月に捕獲された109検体を収集し,胃内容物の種同定,炭素・窒素安定同位体比の分析,及び消化管内容物のコイヘルペスウィルス(KHV)検出試験を実施した.また,2020年7-8月に捕獲された58検体の胃内容物についても種同定を実施した.損壊が著しかった魚類と両棲類の種同定にはmtDNAの塩基配列解析を導入した. カミツキガメの胃内からは,十脚類,魚類,両棲類,昆虫類,及び草本類が検出された.十脚類の検出頻度が最も高く,特に多かったのはアメリカザリガニであった.その検出頻度は45.0-50.0%であったことから,餌生物として最も重要なのはアメリカザリガニであると考えられる.胃内から検出された淡水魚は3目5科6種からなり,印旛沼の主要水産魚であるモツゴが検出された他,チャネルキャットフィッシュなどの外来種も検出された.胃内から検出された両棲類も外来種のウシガエルであり,カミツキガメは外来種と緊密な捕食-被捕食関係を形成していることが示唆された. カミツキガメの安定同位体比は炭素・窒素とも幅広い範囲にあったことから,本種の食物源は多様であることが示唆された.カミツキガメは農業水路のアメリカザリガニとの間に捕食-被捕食関係に相当する値の種間差を示したが,印旛沼や河川のアメリカザリガニとの間にはそのような種間差は認められなかった.カミツキガメは狭い農業水路を採餌場所として利用していた可能性が考えられる. 糞便用/土壌用DNA抽出キットを用いて消化管内容物の全DNAを摘出し,KHV特異的PCRによりKHVが含まれているかを調べた結果,KHVは胃内容物と腸内容物のいずれからも検出されなかった.今後,検体数を増やして入念に検討する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胃内容物の種判別,炭素・窒素安定同位体比分析,及び消化管内容物のKHV検出試験を並行して進め,一定の成果を得ることができた. 胃内容物分析は2021年の109検体と2020年7-8月の58検体について実施し,全体的な傾向を把握することができた.魚類や両棲類は消化管内でも殻が残る甲殻類に比べて損壊しやすく,形態的特徴からの種判別は困難であった.本年度,mtDNAの塩基配列解析を導入することにより,魚種を正確に同定できることが確認された.次年度もカミツキガメの捕獲個体を収集して胃内容物を摘出し,DNA分析に基づく種同定を進める予定である. 安定同位体比分析は,2021年に捕獲された109検体の筋肉について実施し,全体的な傾向を把握することができた.検体からは代謝回転率の速い肝臓も摘出し分析の準備処理を進めていたが,質量分析計の使用時間に制限があったため測定には至らなかった.次年度には肝臓の値を測定し,筋肉の値と比較する予定である.また,最も重要な餌生物であるアメリカザリガニの分析検体数が少なかったことから,次年度にはアメリカザリガニを重点的に採集し分析に供する予定である. KHV検出試験も2021年の109検体全てについて実施したが,KHVは胃内容物と腸内容物のいずれからも検出されなかった.この結果は,コイのDNAが検出されなかった胃内容物分析の結果と合致している.KHV検出試験は次年度の検体についても実施し,入念に検討する予定である.また,胃内容物分析でチャネルキャットフィッシュが検出されたことから,この魚種の病気として知られるエドワジエラ・イクタルリ感染症にも着目し,その原因菌の検出試験も並行して実施する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
胃内容物分析では,次年度もカミツキガメの捕獲個体を収集して胃内容物を摘出し,DNA分析に基づく種同定を進める予定である. 安定同位体比分析では,2021年の検体から摘出した肝臓の値を測定するとともに,最も重要な餌生物であるアメリカザリガニを重点的に採集し分析に供する予定である.カミツキガメが高密度で生息することが報告されている河川水系を調査場所として設定し,河川内とそれに接続する農業水路で採集調査を実施する.また,印旛沼漁業協同組合のご協力を受け,印旛沼内のアメリカザリガニも収集する. KHV検出試験は次年度の検体についても実施し,入念に検討する予定である.また,胃内容物分析でチャネルキャットフィッシュが検出されたことから,この魚種の病気として知られるエドワジエラ・イクタルリ感染症にも着目し,その原因菌の検出試験も並行して実施する予定である.
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Research Products
(2 results)