2021 Fiscal Year Research-status Report
Clarification of the role of type III O-antigen related genes during Flavobacterium psychrophilum infection in ayu
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21K05756
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
永田 恵里奈 近畿大学, 農学部, 講師 (20399116)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 冷水病 / 宿主特異性 / アユ / サケ科魚類 / 血清型 / O抗原 / 病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは先行研究において、アユ由来冷水病菌が3型O抗原関連遺伝子を持つこと、国内外のニジマス由来冷水病菌の中にはアユ由来冷水病菌と同じ3型O抗原関連遺伝子を持つ株が少数いることを明らかにした。本課題では、3型O抗原関連遺伝子が、アユあるいはニジマスに対する病原性の発揮に重要なのかを解明するために、アユならびにニジマスへの感染試験を行いそれらの病原性の有無を確認した。また、アユ由来で3型以外のO抗原関連遺伝子を持つ冷水病菌も発見されたので、その病原性についても調べた。 供試した冷水病菌は、3型O抗原関連遺伝子を持つ13株(アユ由来:10株、サケ科魚類由来:3株)、0型O抗原関連遺伝子を持つ2株(アユ由来:1株、コイ科魚類由来:1株)、そして2型O抗原関連遺伝子を持つ2株(サケ科魚類由来)の合計17株である。アユ(海産系)の稚魚とニジマスを用いて浸漬感染により攻撃試験を行った。 その結果、3型O抗原関連遺伝子を持つニジマス由来の冷水病菌はニジマスに対してのみ病原性を示し、アユには病原性を示さなかった。3型O抗原関連遺伝子を持つアユ由来の冷水病菌は、1株を除いて全てアユに対してのみ病原性を示し、ニジマスには病原性を示さなかった。0型O抗原関連遺伝子を持つアユ由来の冷水病菌は、ニジマスにもアユにも病原性を示さなかった。0型O抗原関連遺伝子を持つコイ科魚類由来の冷水病菌も同様に、ニジマスにもアユにも病原性を示さなかった。2型O抗原関連遺伝子を持つ2株(サケ科魚類由来)は、アユには病原性を示さなかったが、ニジマスに対しては病原性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19により、共同研究先のフランスへの渡航ができず、当初計画していた実験の一部が実施困難になった。しかし、ウェブ会議などを行って情報共有を密に行いながら研究を進めており、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、菌株間の比較ゲノム解析を実施し、病原性ならびに宿主特異性に関与すると考えられる候補遺伝子を探しており、見つかり次第、遺伝子欠損変異株を作成し病原性の変化を確認する。また、ゲノム比較のために最新の冷水病菌株も収集し、随時解析に用いる。
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Causes of Carryover |
共同研究先(フランス)への渡航費用を予算計上していたが、COVID-19のため渡航できなかった。翌年度に状況を見ながら渡航を検討したいと考えている。
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