2022 Fiscal Year Research-status Report
魚類L-アミノ酸オキシダーゼの免疫調節機能:ROSシグナリング起点としての役割
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21K05770
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
木谷 洋一郎 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (70565340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 宏泰 金沢大学, 生命理工学系, 准教授 (00610362)
長島 裕二 新潟食料農業大学, 食料産業学科, 教授 (40180484)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 魚類自然免疫 / L-アミノ酸オキシダーゼ / 抗菌タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においてはL-アミノ酸オキシダーゼとその関連遺伝子の生体防御に関わる役割を推定するために野生型ゼブラフィッシュに対して魚病細菌エドワジェラ・タルダ暴露実験を行った。ゼブラフィッシュ飼育水槽に前述の供試菌を懸濁させ,12時間および48時間飼育後に鰓を採取した。鰓からトータルRNAを抽出しこれを逆転写酵素によりcDNAとした。鋳型cDNAについてゼブラフィッシュゲノム情報から設計したゼブラフィッシュL-アミノ酸オキシダーゼ特異的プライマーを用いて定量PCRを行った。しかしながらL-アミノ酸オキシダーゼ遺伝子について有為な発現量変化は観察されなかった。また,前年度までに開発した蛍光HPLCを用いた高感度L-アミノ酸オキシダーゼ活性測定法を利用して野生型ゼブラフィッシュ鰓抽出液における当該酵素活性測定を行ったがこれは検出されなかった。以上の結果から,ゼブラフィッシュ鰓においてはL-アミノ酸オキシダーゼは遺伝子としては発現しているものの,魚病細菌暴露による変化はなく,また通常状態でもその活性は非常に低いことが予想された。 また,無細胞発現系によるリコンビナントゼブラフィッシュL-アミノ酸オキシダーゼの作製を試み,これは前年度に作製したゼブラフィッシュL-アミノ酸オキシダーゼ抗体と反応することを確認した。 これに加えて,ゲノム編集技術を用いたL-アミノ酸オキシダーゼノックアウトゼブラフィッシュの創出を引き続き試みており,L-アミノ酸オキシダーゼの欠損が生体防御や発生にどのように関与するか明らかとする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度ではゼブラフィッシュL-アミノ酸オキシダーゼの遺伝子発現が魚病菌暴露で誘導されず,そのL-アミノ酸オキシダーゼ遺伝子,L-アミノ酸オキシダーゼタンパク質およびその酵素活性を検出することができなかった。現在,種々の化学物質等を使用してゼブラフィッシュL-アミノ酸オキシダーゼ誘導条件を探索中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,ゼブラフィッシュのROSシグナリング関連物質に対する抗体を設計中であり,L-アミノ酸オキシダーゼ誘導条件を確定させたのちにこれらの抗体によるタンパク質の状態変化を二次元電気泳動で可視化し,ROSシグナリングとL-アミノ酸オキシダーゼの関連性を比較する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度においてゼブラフィッシュにおけるL-アミノ酸オキシダーゼ遺伝子とこれに関連する遺伝子群をトランスクリプトーム解析により網羅的に解釈する予定であったが,L-アミノ酸オキシダーゼ遺伝子の誘導条件を決定することができなかった。そのためトランスクリプトーム受託解析に必要な資金とこれに付随する消耗品購入費を次年度に持ち越した。令和5年度ではこの資金を当初予定した研究に使用する予定である。
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