2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study on antitumor effects of lectins from edible red algae
Project/Area Number |
21K05771
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平山 真 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 講師 (40535465)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | レクチン / 糖鎖 / 食用紅藻 / 抗腫瘍作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、まず食事モデルにおける紅藻藻体の特性に焦点を当て、藻体自体が持つレクチンの消化酵素保護効果を調査した。すなわち、ヒトの嚥下サイズを想定した藻体切片を作成して人工胃液処理に供し、経時的に藻体からレクチンを抽出してその活性を観察した。食用紅藻由来レクチンは藻体に守られて分解されずに腸まで届いている可能性が示された。次に、がん由来培養細胞に対して強い増殖抑制作用を示す3種食用紅藻由来レクチンを用いて、ヒト結腸がん由来培養細胞を対象にレクチン染色に供したところ、各レクチンとも細胞膜上が染色されることが確認され、これらレクチンは同がん由来培養細胞表面に結合することが示された。そこで、上述の紅藻由来レクチン1種に焦点を当て、同がん由来培養細胞上のレセプター検索を行ったところ、複数の膜タンパク質が検出され、同紅藻由来レクチンがこれらの分子と相互作用し、抗腫瘍作用を示す可能性が示された。また、新たな食用紅藻由来レクチンのスクリーニングおよび精製を試み、ガラクトース結合性を示す新規紅藻由来レクチンが見出された。これらレクチンを含め、健康効果ならびにその作用機序に興味が持たれる。 一方、紅藻類はカラギーナンやアガロースなどの多糖類を多量に含み、これらは抽出液に高い粘性を与え、レクチンを含むタンパク質などの水溶性成分の抽出効率を低下させる。そこで紅藻類からの効果的な機能性水溶性成分の抽出・精製法を開発するため、大腸菌発現系を用いて既知海洋性細菌由来カラギーナン分解酵素およびアガロース分解酵素の調製を試み、κカラギナーゼ、ιカラギナーゼ、およびアガラーゼの各組換え体の調製に成功した。これら多糖分解酵素を用いて紅藻類を処理したところ、顕著な粘性低下が示され、タンパク質の抽出量を増加させた。今後、これら酵素を適用することにより、紅藻試料からの効率的な機能性水溶性成分の抽出が可能と考えられた。
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