2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K05772
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
池永 隆徳 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (50553997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 真司 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50634284)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ゴンズイ / 味蕾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではまず、神経細胞などを活動依存的に蛍光で標識する色素を用いて、アミノ酸などの味物質による刺激に対して応答するゴンズイの触鬚の細胞を標識することを試みた。蛍光色素であるFM1-43と、L-アラニン、L-プロリン、ベタインを含む溶液にゴンズイの触鬚を浸すことで、蛍光色素で標識された味蕾の細胞を確認することができた。一方、FM1-43のみを含む溶液に浸した場合は、蛍光標識された細胞はほとんど観察されなかったことから、味物質による刺激依存的に、FM1-43による触鬚の味蕾の細胞の標識が可能であると考えられる。Rhodamine標識されたdextranや、FM4-64といった、同様の実験への利用が報告されている他の蛍光物質では、味物質による刺激を組み合わせた場合でも、味蕾の細胞の標識はほとんど観察されなかった。ゴンズイの触鬚における味蕾の分布には偏りがあり、触鬚を前方に伸ばした状態におけるある高さの断面において、吻部に近い面に味蕾が多く分布していることが知られている。蛍光標識された味蕾の細胞を効率よく単離して回収するために、ゴンズイの触鬚の形態学的特徴と、それと味蕾の分布との関係について検討した。味蕾を標識するマーカーである、抗カルレチニン抗体を用いた蛍光抗体法と組み合わせた観察の結果、触鬚において味蕾が多く分布する面では上皮が厚くなっており、さらに斑紋上の模様が存在することが明らかとなった。これらの特徴を指標として、味蕾を標識することができない生きた状態の触鬚において、味蕾の密度の高い部位を特定することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アミノ酸等の味物質による触鬚の細胞の標識は可能となったが、低pH刺激による同様の標識の実験には至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果より、ゴンズイの触鬚の味蕾の細胞を刺激依存的に標識するためにはFM1-43が最も適した色素であることが示されたため、今後はこの色素を用いた手法を低pH海水による刺激の実験に応用し、刺激によって標識された細胞の単離、回収から、そこで発現する遺伝子の解析の実験を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において、予定していた出張が実施できなかったため。次年度以降に、状況に応じて打ち合わせ及び学会への参加、発表を実施する。
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