2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K05773
|
Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
竹村 美保 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (20273857)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | フコキサンチン / オキナワモズク / 大腸菌 / 珪藻 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フコキサンチンを生産するオキナワモズクを用いて、フコキサンチン生合成経路の解明およびフコキサンチン生合成遺伝子の同定を目的としている。我々はこれまでに、中間体であるビオラキサンチンまでを大腸菌で生産することに成功している。そこでR4年度は、ビオラキサンチンから次の中間体であるネオキサンチンを大腸菌で生産することを試みた。そのために、オキナワモズクの推定ネオキサンチン合成酵素遺伝子と、同じくフコキサンチンを生産している珪藻のネオキサンチン合成酵素遺伝子をクローニングし、発現ベクターに導入した。次に、ビオラキサンチンを生産する大腸菌にこれらの遺伝子を導入し、生産されたカロテノイドを抽出、HPLC-PDAにより分析した。その結果、オキナワモズクの遺伝子導入ではネオキサンチンは生産されなかったが、珪藻の遺伝子導入ではネオキサンチンと思われるピークが検出されたため、さらに詳細な分析を行った。その結果、ネオキサンチンの生産が確認された。以上のことから、オキナワモズクの遺伝子が活性を示さなかった理由については今のところ不明であるが、珪藻の遺伝子を用いて大腸菌でネオキサンチンを生産することに世界で初めて成功した。(この成果については、Plant Biotechnology誌に掲載された。)これにより、大腸菌でのフコキサンチン生産にまた一歩近づいたと言え、非常に意義深い成果である。今後は、ネオキサンチン以降の反応を触媒する酵素遺伝子の探索と機能発現を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、オキナワモズクのトランスクリプトーム解析などを行い、ネオキサンチンまでの生合成経路を明らかにするとともに、反応に関わる遺伝子のクローニングにも成功した。これは、当初計画にほぼ沿ったものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、ネオキサンチンまでを大腸菌で生産することができたので、引き続き、ネオキサンチン以降の経路の解明および関連する酵素遺伝子の探索を行う。これまでの解析から、オキナワモズクの遺伝子が大腸菌の中で活性を発揮するのが難しい場合があることがわかったので、同じくフコキサンチンを生産する珪藻やその他の藻類の遺伝子も用いて、以降の解析を行っていく予定である。
|