2021 Fiscal Year Research-status Report
Forward genetics analysis of muscle differentiation in fish
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21K05777
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
今村 伸太朗 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(長崎), 主任研究員 (80510007)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 筋分化 / 血合筋 / ゼブラフィッシュ / 順遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品として利用しやすいよう魚類の筋分化を制御することは有用と考えられるが、その分子メカニズムはほとんど解明されていない。本研究は、ゼブラフィッシュを養殖魚のモデルとして用い、順遺伝学的手法を用いて筋肉の速筋(普通筋)および遅筋(血合筋)の分化に異常を示す、すなわち、小型の血合筋を持つ系統を作出することを目的とした。ゼブラフィッシュ変異体作製の常法に従い、3世代突然変異スクリーニングを行なった。生後約 3ヶ月の成魚オス(60 尾)に対して、高効率変異原性物質N-ethyl N-nitrosoureaを飼育水に投与した。1 回/週(2ヶ月間)継続的に投与し、半数の個体が生存した。それらの個体を野生型メスと交配し、F1世代(989 尾)の系統を獲得した。それらの系統を野生型と交配し、ヘテロ接合体を含むF2世代の集団(855系統)を得た。F1世代のヘテロ接合体はほとんど表現系を示さなかったことから、F2世代で兄妹交配した。4ペア中1ペア割合でヘテロ接合体同士の交配となる。得られるF3世代の子孫胚は1/4の確率でホモ接合体となるため、変異が劣性の場合でも表現系が出現する。これまでに591ペアから受精卵を得た。血合筋は、生後1ヶ月以降に成長させた方が形態観察しやすいことから、受精卵を2リットル水槽に収容し、1ヶ月以上飼育し、体長が2cm程度まで飼育した。10から20尾をOCT コンパウンド包埋材中で凍結包埋し、横断面の凍結組織切片を作製し、ニトロブルーテトラゾリウム染色により血合筋を特異的に染色し、血合筋の形状に異常を示す系統を選別している。今後、得られた変異体の性状解析および原因遺伝子の同定を進めることにより、魚肉の食品としての有用形質発現のメカニズム解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異体ライブラリー構築および変異体スクリーニングを実施しており、当初の予定通り進行している。変異体スクリーニングにおいて、皮膚色素胞欠損体を用い、生きたまま血合筋のサイズを測定するとしていたが、個体ごとの違いを明確に識別できなかった。そのため、筋肉の横断面の組織切片を作製し、血合筋を特異的に検出する方法を採用した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、得られた変異体に対して筋肉の性状を免疫染色で評価する。既存の筋分化誘導遺伝子の発現量を ISH 及び定量 PCRで検出する。場合によっては、受精卵に Sox6 もしくPrdm1a アンチセンスモルフォリノオリゴを注入し、関係性を明らかにする。また、食品としての有用性を明らかにするために貯蔵試験を行い、筋肉の性状を食品化学的に明らかにする。得られた変異が既知でないことを明らかにするために相補試験を実施する。補完されなかった系統に対して、次世代シーケンシング技術を用いて遺伝子同定を進める。
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Causes of Carryover |
次年度にさらに多くの実験魚を飼育する必要があり、飼料、飼育用具を購入するために使用する予定である。
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