2021 Fiscal Year Research-status Report
低コストウニ用配合飼料の開発を目指した核内受容体COUP-TFのリガンドの特定
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21K05778
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浦 和寛 北海道大学, 水産科学研究院, 准教授 (90360940)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ウニ / 生殖巣 / 核内受容体 / COUP-TF / リガンド / レポーターアッセイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、低コストウニ用配合飼料の開発を目指している。この最終目標を実現するために、本研究では、ウニ生殖巣の肥大に伴う栄養の合成・蓄積に最も関与している核内受容体COUP-TFのリガンドを特定することを第一目的とする。COUP-TFは、無脊椎動物から脊椎動物において存在し、タンパク質・糖・脂質類の合成を制御しているが、未だ生体内のリガンドは不明である。ウニ生殖巣の肥大時にタンパク質、糖、脂質類の合成・蓄積が核内受容体の制御により成されている科学的根拠を基にして、本研究で明らかにするCOUP-TFのリガンドを含む低コスト天然素材を用いウニ用配合飼料を設計に応用する。 MYPプロモーター領域DNAと蛍光タンパク質を組み込んだプラスミドベクター(pGL4.10)およびキタムラサキウニCOUP-TFの発現ベクター(pcDNA3.1)を動物細胞に導入し共発現させるレポーターアッセイ系を構築した。マウスCOUP-TFのレポーターアッセイ系では、レチノイン酸で活性が認められることが報告されている。ウニ生殖巣から総脂質を抽出し、総脂質を添加した結果、濃度依存的に活性が上昇した。このことから、ウニ生殖巣の総脂質中にウニCOUP-TFのリガンドが存在することが示された。さらに、ウニ生殖巣総脂質をシリカゲルクロマトグラフィーにより4つの分画に分けた (Fraction1-4)。各フラクションをレポーターアッセイ系で活性を評価した結果、Fraction1で他の分画に比べ最も高い活性が認められた。また、Fraction1の活性度合いは、レチノイン酸添加群より活性が高かった。Fracation1を薄層クロマトグラフィーで解析した結果、Fracation1はレチノイン酸を含まないことが明らかになった。これらのことから、レチノイン酸以外がCOUP-TFのリガンドである可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
核内受容体COUP-TFのリガンド探索を実現するレポーターアッセイ系の構築が終了した。また、ウニ生殖巣中にリガンドが存在する可能性を示すことができた。ウニ生殖巣から総脂質を抽出しレポータアッセイにより活性が確認され、濃度依存的に活性が高くなることが明らかになった。さらに、総脂質を抽出し、4つに分画しレポータアッセイにより活性が高い分画を得ることに成功した。最も活性が高かった分画にはコントロールのレチノイン酸より活性が高いことが示され、レチノイン酸以外がCOUP-TFのリガンドである可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、順調にリガンドの特定に向けた研究は進んでいる。今後、活性が高い分画をさらに細分画しレポータアッセイによりリガンドの特定を行う予定である。また、リガンドがどのような性質を持つか検討しながらリガンドの特定を実施する予定である。 さらに、リガンドの候補物質が実際にウニ生殖巣の栄養細胞に作用し、主要卵黄タンパク質の発現誘導するか確認するため、栄養細胞の細胞培養系の確立に着手する予定としている。
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