2021 Fiscal Year Research-status Report
ブリ肉コラーゲン量と同代謝関連遺伝子発現量の関連性の解明と新規肉質評価法の提示
Project/Area Number |
21K05783
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
森岡 克司 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (90230094)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ブリ / 筋肉 / コラーゲン / 物性 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ブリ筋肉コラーゲン量と同分子代謝関連遺伝子発現量の関連性を周年調べ、両者の関連性を解明し、コラーゲン分子代謝関連遺伝子のうちいずれの遺伝子の発現量あるいは組み合わせが肉の物性の予測に適しているかを明らかにする。令和3年度から令和4年度にかけては、小課題【1】筋肉コラーゲン量と同分子代謝関連遺伝子発現量の関連性の解明について検討した。 【筋肉のコラーゲンの定量】 本研究で用いるブリ(モジャコ)は、高知大学赤岡養殖施設で飼育したものを用い、R3年11月、12月、R4年1月、4月にサンプリングを行った。筋肉の総コラーゲン含量(Hyp μmol/g)は11月で1.68±0.12、12月で1.81±0.26で増加傾向がみられたが、1月は1.39±0.13と低下した。筋肉ASC含量は11月で、1.03、12月で、1.32、1月で0.86であった。また筋肉コラーゲン分解産物の分析を行い、筋肉の遊離アミノ酸には、コラーゲンに特異的なアミノ酸であるヒドロキシプロリン(Hyp)は、検出されなかったが、ペプチド態アミノ酸では、Hypが検出され、11月で8.2 ± 4.2、12月で16.1 ±3.8、1月で16.7 ± 1.3 (mg/100g)あり、11月から12月にかけて増加傾向を示した。このことからブリ幼魚は冬季において12月が最もコラーゲン含量が高くなること、遊離態及びペプチド態Hyp含量の変動から、コラーゲン合成及び分解は11月から12月にかけて亢進しているものと推察した。 【コラーゲン分子代謝関連遺伝子の発現量の定量】 コラーゲンの分解と合成にかかわる酵素群の遺伝子発現量については、化学分析に用いた試料より、RNA抽出後、―80℃で保管してあり、今後、順次、定量PCR (qPCR)により筋肉におけるP4H α(Ⅰ),MMP-9及びTIMP2遺伝子発現量を測定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、サンプリングの時期としては、R3年7月からR4年5月までの間としていたが、新型コロナ感染拡大第5波の影響で、7月、9月のサンプリングができず、11月からのサンプリングとなり、現在、12月、R4年1月、4月までサンプリングを行っており、今後、6月、7月、9月までサンプリングを行う予定である。これに関して、サンプリングの時期がずれたものの、研究目的である飼育条件を同じにしたブリ筋肉コラーゲン量と同分子代謝関連遺伝子発現量の関連性を周年調べることには変更はなく、今後、化学分析及び遺伝子分析を行うことで、R4年中にブリ筋肉コラーゲン量と同分子代謝関連遺伝子発現量の関連性を研究計画通り、明らかにできるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況において、記述した通り、概ね計画通り研究を遂行しており、本年末には、飼育条件を同じにしたブリ筋肉コラーゲン量と同分子代謝関連遺伝子発現量の関連性に関して明らかにしたうえで、ブリ筋肉コラーゲン分子代謝関連遺伝子発現量による肉の物性の評価・予測に関する研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
主な理由として、新型コロナ感染拡大により、予定していた県外への旅費の使用ができなかったことによる。
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