2023 Fiscal Year Annual Research Report
水産物の品質に関わる生体アミン類の新たな生成機構の解明
Project/Area Number |
21K05785
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
田中 竜介 宮崎大学, 農学部, 教授 (30399654)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヒスタミン / ヒスチジン / 生体アミン / アルデヒド |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究でヒスタミンの生成は、ヒスタミンの前駆物質であるヒスチジンと脂質酸化物由来のアルデヒド類が関わることを明らかにし、反応性が高いアルデヒドとして分鎖構造、二重結合を持つ炭素数6または7のアルデヒド類(2,4-アルカジエナール類)であることを明らかにした。しかし、これらの反応は、180℃で1時間の反応が必要で食品の保蔵や加工下での条件とは乖離しているため、これらの反応には脂質酸化物由来のアルデヒド類とヒスチジンの存在だけではなく、他の触媒効果を持つ成分の関与が必要であることを考察した。そこで、本年度はこの反応を触媒する食品中の成分について検討を行った。しかし、様々な食品成分を検討した結果、本反応を触媒する成分を見いだすことはできなかった。そこで、本研究はヒスタミンを代表とする生体アミン類の生成に着目しているため、ヒスチジンからヒスタミンへの生成に限らず他の生成アミン類の生成にも着目した。その結果、前述の2,4-アルカジエナール類の存在下でアルギニンからアグマチン、チロシンからチラミン、オルニチンからプトレシン、リジンからカダベリンの生成が確認され、これらは食品劣化によって増加する微生物の脱炭酸酵素反応由来の物質と一致した。また、これらの反応に関与したアルデヒドは先述の2,4-アルカジエナール類であったが、これらの反応は炭素数が7または9の場合、生体アミン類の生成量が高かった。以上の結果から、ヒスタミン以外の生体アミン類も前駆物質であるアミノ酸と特定のアルデヒド類との反応により生成されることが明らかとなった。
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