2021 Fiscal Year Research-status Report
人口減少期における農山村資源の再評価と地域の持続可能性:八ヶ岳南麓の事例から
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21K05794
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
渡辺 靖仁 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40635827)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 関係人口 / デジタルネイティブ世代 / 農村共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、次の3段階で行うことを計画している。研究代表者がフィールドとしてきた八ヶ岳南麓地域の農村地帯について、第1に、その変化をより深掘りして、人口減少期にみられる新たな価値創出の一局面ととらえ、第2に、農村における諸資源の再評価がどのように新たな価値を導くのかのメカニズムを分析し、第3に、具体的な地域資源の、新たな価値創生への貢献状況の検討を行う、というものである。 所謂地域力、すなわち地域における諸資源の魅力を再発見し、再構成して新たな価値を付加する力は、本研究において、一般化と個別化の枠組みで議論している。今年度は、コロナ感染症の蔓延から、国内有識者などへのインタビュー調査を目的とした出張並びに対面での会合は一切実施できなかった。このため、一般化の枠組みの議論に注力した。第1段階の人口減少期にみられる新たな価値創出の分析については、現地調査ができなかったことから、人口論などの文献調査を中心に行い、既存の学説をサーベイし、関連する論点を整理した。第2段階の、農村における諸資源の再評価がどのように新たな価値を導くのかのメカニズムについて、今年度では、諸資源の再評価の可能性を導く農村政策の動向を整理するとともに、新たなコミュニティの創成の可能性を、国土交通省が関係人口の実態を把握するために行った「地域との関わりについてのアンケート」(令和2年2020年9月)の個票データを用いて分析した。この結果は、「デジタルネイティブ世代の農村共同体との親和性」なるタイトルで、日本農業経済学会 (2022年3月27日)において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
聞き取り調査による個別の論点の深堀はほとんどできなかったものの、学会への貢献という観点からは、予定よりも早く学会発表の素材を析出することができたことを進展と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、「デジタルネイティブ世代の農村共同体との親和性」報告の、会場における質疑応答結果を踏まえ、本報告内容の追加分析を行うとともに、農村政策の新たな展開を注視しながら、一般化の枠組みで議論した論点の、個別具体的な活動との関連づけを検討する。コロナ感染症の蔓延状況にもよるが、聞き取り調査が可能となった場合には、実践者への聞き取りを通じて個別化の論点の深堀に取り組む。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの感染により、国内出張が困難になったことで、旅費支出が当初予定を大幅に下回ることになった。物品費についても現地調査が不可能なことから原則としてオンラインによる情報収集に努めた関係で、当初予定を大幅に下回っている。次年度に、コロナウイルスの感染状況が改善された場合には、国内出張をおこなう。コロナウイルスの感染状況が改善されない場合には、文献データベースの購入や書籍等の購入に充てる。
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