2023 Fiscal Year Research-status Report
Impact of the Information Divide on the Adaption and Diffusion of Stress-tolerant Rice in Bangladesh
Project/Area Number |
21K05799
|
Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
矢口 優 拓殖大学, 国際学部, 教授 (40407664)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 根雨 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 任期付研究員 (80836643) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 新技術導入・普及 / バングラデシュ / 携帯通信網の役割 / 環境ストレス耐性稲 / 家計調査 / 食料農業経済 / 農業経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、バングラデシュにおける環境耐性をもつ稲の新品種導入における新技術伝播の状況、要因、問題点について農民の持つ情報格差がもたらす影響を経済学の観点からの実証研究を行うことを予定する。技術情報伝播のあり方としては、農民間のうわさや口コミ情報、トレーダーや技術開発普及員からの伝え聞きという伝統的なルートとともに、同国では普及が著しい携帯電話網やオンラインソーシャルネットワークの可能性をさぐり、同時に農業技術の伝播についての新たな知見を得ることを目的とする。とりわけ携帯電話網からの文字情報と音声情報の有用性を2種の情報を明確に峻別して分析する点、また情報伝播で問 題となる情報疎外者問題を探るための検証を行う。対象となる農家は、現地の協力研究機関と共同で選定した独自の500軒の農家家計調査によるマイクロデータを用いた検証を予定している。
2023年度においてもコロナウイルスの感染がおさまらず、現地協力機関からも同年度中の調査は延期を勧められたうえ、研究代表者の現地への出張が困難であり農家訪問調査を実施することがかなわなかった。そのため、現地協力機関とのメール連絡やオンライン会議による打ち合わせや遠隔作業を行った。また家計調査員への事前訓練を遠隔で行い、次年度からの家計調査が円滑に進むのための準備作業については引き続き継続している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
依然として継続するコロナ禍によって、現地の家計調査を基本とする本研究課題の遂行は、前年度に続き2023年度も事実上遂行できない状態が続いた。本来であれば2023年度は当初2021年度に予定された家計調査を2年遅れで実施することによって、すでにデータ収集の終わっている2015~16年のベースライン時点での状況との比較、分析の準備が整うはずであった。しかしながら研究の前提となるデータが入手できていないため、現時点では研究成果は何らできていない。 現地協力機関の見通しでは、2024年度は制約のない現地調査が再開できる見込みにあるため、2023年度中に制約付きの調査をするよりは翌年度への延期を助言された。くわえて研究代表者の所属機関は、2023年度前半も業務による海外渡航に制限があったため、現地渡航もあえて行わなかった。その間におけるオンライン会議による打ち合わせや、家計調査のための準備作業については共同作業を開始しているが、現下における研究の進行に直接寄与するものではないため、進捗状況については遅れていると報告する次第である。
|
Strategy for Future Research Activity |
基本的には、本研究課題の遂行は当初計画から3年間繰り下げて実施する方向で再検討に入っている。本来2021年度に行うべき計画を2024年度に繰り下げ、以降については、大きな制約があり当初の計画通りの実施はできないが、繰り下げてできるものは研究期間を終了しても継続する方向で予定している。 なお、2024年度になり研究代表者の所属機関の海外出張に関する制約が取り除かれ、現地協力機関も2024年度の現地調査での協力はできる見通しであるとの連絡は受けている。
|
Causes of Carryover |
2023年度については、前年度に続いてバングラデシュにおける現地調査ができず、調査費用として計上した予算の大半が未利用となった。過年度分と合わせて2024年度に使用予定である。
|