2021 Fiscal Year Research-status Report
稲作を土台とした地域通貨による地域消費活動の変革を目指した社会実験
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21K05802
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Research Institution | Niigata Sangyo University |
Principal Investigator |
阿部 雅明 新潟産業大学, 経済学部, 教授 (20319015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 実良 新潟産業大学, 経済学部, 講師 (10434458)
黒岩 直 新潟産業大学, 経済学部, 講師 (20785224)
宇都宮 仁 大正大学, 地域創生学部, 准教授 (60711091)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域通貨 / 農業振興 / 地産地消 / 地域通貨ゲーム / 持続可能な発展 |
Outline of Annual Research Achievements |
農業も含めた地域経済衰退の主要原因は消費者の合理的消費行動(安い商品を求めた地域外からの購入)による「ヒト・モノ・カネ」の地域外流出である。これは地域消費行動における「囚人のジレンマ」的状況といえる。 本研究においては、地域消費行動における囚人のジレンマから抜け出し、地域社会におけるパレート最適を達成するため、特に地域農業の再生に重点を置いた地域通貨流通システムの構築のための流通実験を行なっている。 そこで、2021年度中には、地産地消推進のための地域通貨『風輪通貨(ふうりんつうか)」をボランチア活動参加者に250枚ほど配布し、そのうち193枚(19,300円相当)が協力店で使用された。普段、地元商店での買い物が少ない、学生や市民を地元商店に誘導することができたが、新型コロナウィルス流行の影響を受け、ボランティア活動開催が思うようにできず、当初予定していた地域通貨発行数(1200枚)を大幅に下回ってしまった。 本研究の目的に、地産地消の推進による農業振興があり、この達成のためお米づくりも実施した。田んぼの耕作から田植え、稲刈り、精米までボランティア参加者で実施し、参加者に地域通貨も配布した。今後は地域農家との連携を深め、地域通貨流通拡大と農業振興が連動する仕組みづくりを構築しようと考えている。 地域通貨流通が地域経済活性化に寄与することを実証し、体験的に理解してもらうための「地域通貨ゲーム」の開発をし、大学生を対象として6回の体験会を実施できた。参加者からは地域通貨の導入が地域経済を活性化させる力を持つことを実感できたとの感想を得ている。2022年度は、市民対象にも地域通貨ゲーム体験会を実施し、地域通貨の効果の理解を深めてもらい、流通拡大を目指す。また、広報の一環として活動紹介のWebページの整備とYouTubeへの活動紹介動画の公開も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の中核をなす地域通貨流通活動については、新型コロナウィルス流行の影響を受けて、当初の予定発行数を大幅に下回る結果となった。また、地域通貨流通の効果を検証する目的で実施を予定していた柏崎市民対象のアンケート調査についても、実施できなかった。以上2点については2023年度の活動で、2022年度予算の未消化分を使用し、しっかりと遅れを取り戻すよう共同研究者間で計画を立てている。 地域通貨ゲームの開発と実施については計画通り進んでいる。6回ほど実施した体験会では、参加者のほとんどが地域通貨流通の全ごの比較から、地域通貨流通の地域経済活性化に与える効果を実感したと答えてくれた。 ボランティア参加者によるお米(もち米)づくりは計画通り実施できたが、収穫後に地域通貨配布イベントとして予定していた餅つき大会は新型コロナウィルスの影響で中止となってしまった。その他ボランティア活動の開催も当初予定よりも縮小してしまった。 また、地域経済の実態や地域通貨の認知度などを調査するためのアンケート調査は未実施となってしまった。市民対象のアンケート調査は2023年度に実施する予定である。 以上のように、アンケート調査以外は実施項目としてはほぼ実施できたがそれぞれの活動で規模の縮小を余儀なくされており、2022年度および2023年度の研究活動で調査等の遅れを取り戻す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
3カ年計画の本研究の1年目は新型コロナウィルス禍の影響を受け予定の一部が縮小、未実施となってしまっている。そこで、今年度は初年度計画していた項目も含め実施していく。 まずは初年度に予定を下回った、地域通貨の発行・配布枚数を拡大しつつ、地域通貨の認知度や効果の理解度等を検証するためのアンケート調査を実施する。 また、初年度(2021年度)は研究代表者が所属する新潟産業大学近郊の公園内にある水田施設での米作りを実施したが、地目の問題で生産した米の販売は不可となっていた。農業振興を目的の一つとする地域通貨流通実験であるため、2022年度は柏崎市高柳地区の農家の協力を得て販売可能な米を生産し、実際の販売活動も実施し(収益は地域通貨流通活動のみに使用)、農業進行も含めた地域活性化に寄与する流通システムの構築を目指す。 地域通貨ゲームの実施については、研究分担者が所属する大正大学の学生にも協力してもらい、地域経済活性化に関心のあるグループと関心の薄いグループに分けて経済取引の結果の違いを検証する予定である。 今までの研究・調査により、地域通貨流通活動の成功のためは市民の認知・理解が重要であることがわかっているため、今後、SNSの活用についても、さらに検討・実施し、アンケート調査等を通じて効果を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の中核をなす地域通貨流通活動については、新型コロナウィルス流行の影響を受けて、当初の予定発行数を大幅に下回る結果となった。また、地域通貨流通の効果を検証する目的で実施を予定していた柏崎市民対象のアンケート調査についても、実施できなかった。ボランティア参加者によるお米(もち米)づくりは計画通り実施できたが、収穫後に地域通貨配布イベントとして予定していた餅つき大会は新型コロナウィルスの影響で中止となってしまった。その他ボランティア活動の開催も当初予定よりも縮小してしまった。 以上のように、アンケート調査以外は実施項目としてはほぼ実施できたがそれぞれの活動で規模の縮小を余儀なくされており、2022年度および2023年度の研究活動で調査等の遅れを取り戻す予定である。 まずは初年度に予定を下回った、地域通貨の発行・配布枚数を拡大しつつ、地域通貨の認知度や効果の理解度等を検証するためのアンケート調査を実施する。 地域通貨ゲームの実施については、研究分担者が所属する大正大学の学生にも協力してもらい、地域経済活性化に関心のあるグループと関心の薄いグループに分けて経済取引の結果の違いを検証する予定である。
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