2021 Fiscal Year Research-status Report
余剰農産物協定をめぐる日米交渉―二国間関係を越えて―
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21K05812
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 淳史 京都大学, 農学研究科, 准教授 (00402826)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 農産物貿易促進援助法(PL480) / 相互安全保障法(MSA) / 余剰農産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新型コロナウイルス感染症により国内外での実地訪問による資料調査を断念せざるを得なかった。そのため、国立公文書館にて電子公開されている一次資料の収集を進めるとともに、広く関連文献の収集・分析を行った。そして、新たに収集した資料および収集済みの外交文書(アメリカ国立公文書館および外務省外交史料館所蔵文書)をもとに学会報告および論文の作成を行った。 本年度の研究成果発表状況は以下の通りである。 ①農産物貿易促進援助法(PL480)にもとづく農産物売却資金によって実施された、アメリカ農産物の日本市場開拓計画に関する検討結果を論文にまとめ、査読付き国際学術誌に掲載された(ITO Atsushi “Japanese Market Development Programs under PL 480 in the late 1950s: Focus on Wheat and Rice,” Agricultural History Vol. 95, No. 2 (Spring 2021), pp. 245-275)。 ②相互安全保障法(MSA)第550条にもとづくアメリカ余剰農産物の売却(いわゆるMSA小麦)や、その後のMSAによる余剰農産物売却構想に関するに関する学会報告を行った(伊藤淳史「MSA余剰農産物協定をめぐる日米交渉―1953~60年―」日本農業経済学会個別報告、2022年3月27日、龍谷大学(オンライン開催))。 ③第3次・第4時PL480協定が不成立に終わる交渉過程に関する学会報告を行った(伊藤淳史「第3次・第4次PL480協定をめぐる日米交渉: 1956-57年」日本農業史学会個別報告、2022年3月28日、オンライン開催)。なお、②③については2022年度に論文としてまとめ、学術誌への投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で説明した通り、本年度は新型コロナウイルス感染症の影響により実地での資料調査を断念せざるを得なかった。しかし、投稿論文1報が査読付き国際学術誌に掲載されたほか、学会報告2本を行い、収集資料を分析した成果を発表することができた。2022年度においてもオンライン・実地両面での資料収集を進めるとともに、論文の投稿を引き続き行い、研究成果を積極的に発信したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は国内の文書館において実地での資料収集を行うことを予定しており、既に国立公文書館には資料の利用審査を申請している。利用審査が終わり次第、新型コロナウイルス感染症の蔓延状況を勘案しつつ実地調査を実施したい。そして、収集資料の分析および学会報告での議論をもとに論文作成を行うこととしたい。具体的には、①MSAによる余剰農産物売却構想に関する交渉過程および②第3次・第4次PL480協定の交渉過程に関する論文投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
本年度に予定していた国内外での資料収集が新型コロナウイルス感染症の影響でキャンセルとなり、また2度の学会報告もオンライン開催となったため、旅費の執行が皆無となった結果、次年度使用額が生じた。2022年度においては、実地での資料調査や対面での学会報告により旅費が発生する見込みである。
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