2021 Fiscal Year Research-status Report
鋼矢板水路の腐食実態の非破壊同定に基づく寿命評価法の開発
Project/Area Number |
21K05825
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 哲也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (30434103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 由麻 (島本由麻) 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70826601)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鋼矢板水路 / 腐食劣化 / 非破壊検査 / 機械学習 / 寿命評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
鋼矢板とは金属製の建設材料である。農業分野では,軟弱地盤地帯において水路護岸として多用されているが,腐食(サビ)の急速な進行により耐力低下が問題となっている。腐食が進行すると孔食(断面欠損)が発生し,座屈破壊に至る。本申請では,農業用鋼矢板水路を対象に,適切な保全対策に資する鋼矢板護岸の精緻な腐食実態の評価とそれに基づく寿命評価法の開発を目的とする。 令和3年度は研究課題【1】『鋼矢板護岸の腐食劣化機構の解明』を中心に検討した。具体的には,新潟県新潟市亀田郷地区を対象に腐食状況の異なる4か所の水路実態を板厚調査と赤外線調査を実施した。本調査は令和4年度以降実施する研究課題【2】と【3】の基礎データとなるものである。 実証的検討の結果,局所的な腐食進行は干満帯において確認された。一例として,F排水路では,設計板厚5 mmの鋼矢板材が干満帯で1.16 mm(平均値)の板厚減少を確認した。標準偏差は0.78 mmであった。K排水路(上流)では,F排水路同様,設計板厚5 mmの鋼矢板材が干満帯で1.32 mm(平均値)の板厚減少を確認した。標準偏差は0.94 mmであった。詳細な状態評価には空間統計学のセミバリオグラムモデルを適用し,特徴量の抽出を試み,適用手法の有用性を確認した。経験バリオグラムを理論バリオグラムへ近似した結果,F排水路のレンジは192,シルは0.69であり,K排水路(上流)のレンジは555,シルは1.53であった。検討の結果,F排水路に比べてK排水路(上流)では空間相関性が小さく,データのばらつきが大きいことが明らかになった。これらのことから,鋼矢板水路の腐食現象は,発生部位やその程度は水理条件や材質,地下水状況等に影響受けることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天候に左右される既存施設の板厚計測がR3年度に完了した。申請時に設定した研究課題において実施が必要な野外作業をすべて終えるこちができた。このことから,今後は数値解析等の検討が中心となるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題【1】の成果を踏まえて,既存施設の非破壊状態評価法(研究課題【2】)と寿命評価法(研究課題【3】)の具体的検討に入る。 研究課題【2】では機械学習手法を導入し,非破壊状態評価法を構築する。具体的には,決定木,ランダムフォレストおよびSVMによる比較検証を行う。 研究課題【3】では,新潟県新潟市亀田郷地区を事例に数値計算モデルを構築する。
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Causes of Carryover |
令和3年度はCOVID-19の影響により研究活動が制限された。次年度使用額ば,令和3年度課題に関連する調査研究において使用する。
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