2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of an integrated method between deep learning and physical models in lowland drainage management with insufficient observed data
Project/Area Number |
21K05838
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
木村 延明 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (40706842)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 少ない量のデータ / 深層学習 / 物理モデル / 水位予測手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大規模洪水イベントのようなデータ量が少ない場合に、物理モデル等で大規模洪水に関するデータを人工的に生成し、それらの仮想データを深層学習の入力として学習させ、データ量が少ない大規模洪水イベントでも、良好に精度の高い予測ができる水位予測モデルを構築するものである。 本研究の作業は、次の3つのステップに分けられる。1)対象地区の選定とデータ収集・整理、2)仮想データ生成のための物理モデル等の構築、および深層学習モデルの構築と転移学習とのカップリングシステムの構築、3)転移学習を実装した水位予測手法による検証のための数値実験、並びに研究成果のまとめと論文作成である。 これまでの研究進捗に関して、本研究の計画のように、上記ステップの1)と2)を対象にした。1)に関して、低平地の排水機場の調整池で観測されたデータ等の収集と整理・解析を実施した。2)に関して、転移学習の機能を利用するために必要な仮想データの生成を、確率プロセスに基づく降雨予測モデルと対象流域で構築された流出解析モデルを用いて実施した。仮想データについて、模擬的な3つの豪雨群(100,300,500㎜/72 hour)に対応する洪水イベントの水位データを、豪雨群毎に1000個の仮想データセットをそれぞれ作成した。以上のことから、おおむね研究計画に沿って1)と2)の途中まで完了した。しかし、2)の残りの作業に関して、水位予測に用いる深層学習モデルの構築と転移学習を実装するためのシステムのプロセス設計を行っているものの、転移学習に関するシステムの構築がやや遅れている。 成果として、本研究で構築される予定の物理モデルと深層学習をカップリングさせた水位予測モデルの簡易的なシステムとして、プロトタイプを作成し、利用的な計算条件と一部観測データを用いて予備的な数値計算を行い、その成果を学術論文として投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究期間の初年度は、計画に従って深層学習モデルを駆動させるために、また、転移学習を実施するために必要なデータ収集・整理を実施した。観測データは対象地区の水位データと近隣のアメダスからの気象データである。他方、対象地区の流出解析に基づく物理モデルの構築を行い、予測精度の妥当性を検証した。アメダス気象データに基づき確率的に計算された模擬的な豪雨(100,300,500㎜/72 hour)を用いて、物理モデルから生成される水位の仮想データセットを作成した。深層学習モデルの構築と深層学習モデルに転移学習の機能を組み込むためのシステムの構築について、現在取り組んでいる段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降の計画では、深層学習モデルの開発を行い、さらに深層学習モデルに転移学習を実装するためのシステムを構築する。まず、深層学習モデルの予測精度の妥当性を検証する。次に、転移学習の実装とその検証を以下のように実施する。 ・物理モデルから生成された洪水イベントの大量の仮想データで事前学習をさせる。 ・学習済みの深層学習モデルの一部を少ない観測データ(洪水イベントのみ抽出)で再学習させて、予測精度が改善するかどうかを検証する。
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Causes of Carryover |
初年度(R3年度)に計画したプログラム開発やその補助に関わる人件費について、開発予定のシステム設計に時間を要したことと、プログラマーなどの人件費が高騰していることで、R3年度の発注が困難であった。従って、R3年度の人件費の計上分が余剰となった。また、予定していた国内外の学術学会への参加について、すべてオンラインになったために、旅費に計上した経費が余った。しかし、これらの余剰分は、R4年度に委託する予定のシステム開発に関わる人件費へ補填する予定である。
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Research Products
(2 results)