2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of high-sensitivity labor-saving observation method to detect fluctuations in the freshwater-saltwater interface deeper than the bottom of the observation hole
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21K05839
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
中里 裕臣 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, グループ長 (00373225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白旗 克志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (10648281)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 塩淡境界 / 淡水レンズ / 電気探査 / 時系列探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、まず応募時に発案した地表送信+孔内受信電極配置による塩淡境界変動に対する探査感度を、詳細な2次元地盤モデルで再解析し、受信電極については応募時の淡水内に2電極を置く場合に対し、塩淡境界をまたいで淡水内と塩水内にそれぞれ電極を置く方が塩淡境界変動に対する測定値の応答が大きく、地下水位変動や孔内水の電気伝導度変化に対しては測定値の応答が小さいことを明らかにした。 試験地である沖縄県多良間島においては、賦存する淡水レンズの下限である塩淡境界付近を孔底とする浅い観測孔とそれ以深の塩水まで掘削された深い観測孔の組が利用できる島の北西部、北東部、南東部の3エリアを選定した。北西部においては行政部局により揚水試験が実施されたため、これに合わせて応募時に発案した淡水内に受信電極を置く地表送信+孔内受信電極配置により時系列測定を行った。その結果、揚水に伴う観測孔孔内水の電気伝導度変化にほぼ対応する抵抗値変化が見られ、淡水内に受信電極を置いた場合には塩淡境界変動よりも孔内水の電気伝導度変化の影響が大きいことが把握された。次に、深い観測孔により塩淡境界をまたぐ新しい受信電極配置により地表送信+孔内受信の時系列探査を実施し、孔内水の電気伝導度変化と比較したところ、孔内水の電気伝導度は潮汐変動に対応した12時間周期の変動を示すのに対し、時系列探査ではこの変動は見られなかった。この結果は孔内水の電気伝導度変化は潮位変動に伴う水圧変化による孔内流動を反映しており、帯水層の塩淡境界変動を示さない可能性が高く、地表送信+孔内受信電極配置による帯水層内の塩淡境界変動検知法の有効性を示すと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験地である沖縄県多良間島において、本研究に適した観測孔の組を複数選定し、8月と1月の現地調査及び2次元地盤モデルの数値解析により、本課題の提案時に発案した地表送信+孔内受信による塩淡境界変動検知手法の改良点を明らかにしたうえで、改良した電極配置の有効性を示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は揚水井下方に形成される3次元的な形状の塩水のアップコーニングに対する電位応答を3次元数値地盤モデルにより模擬し、その変動を検知する電極配置の最適化を行う。また、多良間島現地において塩淡境界深度の季別変動や大潮時の短期的な変動を対象に地表送信+孔内受信時系列探査を実施し、多段電気伝導度計観測による観測孔内の電気伝導度変化と比較し、改良された電極配置の有効性を検証し、特許出願を行う。探査結果との比較のため、初年度よりも多くの深度で孔内の電気伝導度変化を観測する必要があるため、最終年度予算の前倒しによる電気伝導度計の購入を検討する。
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Causes of Carryover |
本課題実施の中核をなす電気探査装置について、当初は時系列測定機能を持つ海外製品購入を想定していたが、購入にあたり内外の製品を精査したところ、特に低消費電力の国産装置が最近製品化されており、この装置が想定機種よりも安価であったため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額については、翌年度分助成金と合わせて、探査データの比較対象となる孔内水の電気伝導度プロファイルの変動計測のための電気伝導度計の購入に充当する計画である。
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