2021 Fiscal Year Research-status Report
紫外光励起蛍光分光画像計測による農産物の蛍光指紋抽出と品質評価
Project/Area Number |
21K05853
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
小林 太一 宮崎大学, 産学・地域連携センター, 准教授 (40541355)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 紫外励起蛍光分光画像 / 非破壊計測 / 光励指紋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光励起蛍光分光(PL)法と分光画像法を発展的に展開して、「紫外光励起蛍光分光画像計測による農産物の蛍光指紋抽出と品質評価」の基礎的知見を得ることを目的とする。 2021年度は基礎知見を得るため、課題①「分光蛍光光度計を用いた農産物の蛍光スペクトル取得と品質最適波長の選択」、課題②「蛍光分光波長に基づく蛍光画像からの品質成分の疑似可視化」の一部について着手した。具体的には、カンキツ(へべす)を対照として10週間程度常温及び冷蔵貯蔵に供し、クロロフィル分解に伴う黄化現象を経日的に計測し、クロロフィル蛍光と鮮度との関係について考察した。 ①結果:得られた蛍光スペクトルにピーク分離(成分分離)を施した結果、クロロフィル蛍光成分である740nmと700nmが選択された。これらのピーク面積比とクロロフィル濃度の関係はR=0.87と高い相関が得られた。②結果:紫外光励起蛍光分光画像計測システム(紫外励起365 LEDアレイ光源、検出器:可視・近赤外蛍光高感度冷却CMOSカメラ)を構築し、420-1100nmの波長範囲で蛍光分光画像を取得した。この画像から蛍光スペクトルを作成し①の蛍光スペクトルと比較したところ、同様の蛍光ピークが観測された。次に、蛍光分光画像から得られた蛍光スペクトルデータに基づき多変量解析によりクロロフィル含量の予測を行ったところR=0.92と高い相関が得られた。また①で選択られた蛍光波長における蛍光分光画像の蛍光強度比率とクロロフィル濃度の関係をみたところR=0.94と高い相関が得られた。さらに、ホウレン草の鮮度値評価を応用することで、ヘベス鮮度評価の可能性が伺えた。 以上、紫外光励起蛍光分光画像計測による農産物の品質評価の可能性を示唆する基礎的データを得ることができた。今後、疑似可視化画像を作成し品質評価指標を策定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度計画のとおり、分光蛍光光度計を用いた農産物の蛍光スペクトル取得と品質最適波長の選択が可能となったこと、その波長に基づく蛍光分光画像からの農産物品質評価が可能となったため、おおむね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の課題②「蛍光分光波長に基づく蛍光画像からの品質成分の疑似可視化」については、蛍光分光画像を取得し、ピクセルごとに品質予測式を適用して疑似可視化を行う。また、疑似可視化画像を用いて品質評価指標を策定する。 新たに、課題③「複数の紫外光励起を用いて取得した蛍光画像からの蛍光指紋取得とその解析」として、照射する励起波長を325,340,365,395及び405nmと走査し、蛍光スペクトル420-1100nm(5nm間隔)を網羅的に計測し、供試サンプルにおける、励起波長、蛍光波長、蛍光強度からなる励起蛍光マトリクスを(蛍光指紋)を、ピクセルごとに得る。目的とする品質由来成分、生菌及び微生物固有の指紋を導き、品質評価を行う。さらに、ピクセルごとの蛍光指紋といいた豊富な情報量をもって、多変量解析、AI解析及びデータマイニングにより品質評価指標を策定する。
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