2022 Fiscal Year Research-status Report
深層学習による葉の振動波形を用いた植物の灌水制御に関する検討
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21K05855
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
白川 貴志 桐蔭横浜大学, 工学研究科, 研究員 (30424857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 恒美 桐蔭横浜大学, 工学研究科, 教授 (80257427)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 葉の振動計測 / 深層学習 / 灌水制御 / 葉の共振周波数 / 日周変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物の健康状態を非破壊的に検査する方法はまだ確立していないため、このような方法が実用化されれば、植物を最適な環境で育てることが実現出来るようになる。以前の実験結果より、小松菜の葉の共振周波数は成長とともに低下すると同時に、健康時には規則的な日周変化を示すが、給水停止などの水ストレスを与えると、日周変化が乱れる事が判明している。 初年度は、過去に取得されたデータを用いて深層学習による検討を試みる予定であったが、半導体不足の影響により、深層学習用機材の調達が困難であることが判明したため、日周変動現象を再確認するための実験環境構築と基礎データの取得を行っている。さらに今年度は、育成室においてナスの成長に伴う葉の固有振動数、土壌含水率変化、成長&日周変動を捉えた葉の連続写真などの計測データ取得を行いつつ、葉の共振周波数変化を深層学習により予測する処理を進めた。しかしながら、まだ、短期変化データでは日周変動による共振周波数の変化の予測精度が十分でない状況である。 なお、計測対象用の植物としては、研究室内で育成制御しやすい小松菜もしくはナスを用いた。加振用音源としてはパラメトリックスピーカを用い、葉の振動計測用としてはレーザ変位計およびCCDカメラを用いた。加振用音波を5分間隔で送出して、その際の葉の振動を計測している。なお、水分センサーを用いて土壌の含水率変化も計測している。また、日周変動を起こさせるために、蛍光灯のオンオフを利用して部屋の明るさを調整した。実験結果から、以前と同様な日周変動が確認された。また、水ストレスを与えた場合の実験も行い、CCDカメラで葉のしおれが観測される前に、葉の共振周波数が変化し始めていることが確認された。この現象を利用すれば、植物の健康状態を維持したまま、水ストレスによる影響がでる前に灌水制御を行うこと可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
育成室においてナスの成長に伴う葉の固有振動数、土壌含水率変化、成長&日周変動を捉えた葉の連続写真などの計測データ取得を行った。固有振動の測定は非接触型レーザ変位計を用い、土壌水分の測定はCDC-EC-5(DECAGON社)を用いて土壌の比誘電率から算出を行った。4か月の育成期間においては水遣りの調節による土壌含水率の低下、結実、葉の成長に伴う接触などの影響で固有振動数の変化が確認された。上記以外では固有振動数、土壌含水率ともに育成室内の照明サイクルに伴った日周変動が観測されているが、株全体の成長などの影響が乗っている為に単純な数式モデル化では予測は難しいと思われる。 現在、葉の固有振動変化を深層学習により予測する処理を進めている。水ストレスなどの有無による葉の共振周波数の日周変化データをディープニューラルネットワーク(DNN)に入力し、データの変化傾向の違いを自律的に学習させ、水ストレスの有無を判定できるかどうかについての検討を行う目的で、DNNの中でも時系列データを考慮できる「回帰型ニューラルネットワーク」RNN(Recurrent Neural Network) を改良したLSTM(Long Short Term Memory)を用いた。Pythonを利用してナス葉の固有振動数変化を学習させ、短期変化データを入力すると固有振動数の先行きを予測する試行を行っている。しかしながら、機械学習にとって重要である入力データの最適処理、学習環境の設定などの問題で理想的な予測が出力されていない状況であるため、進捗状況としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っているLSTMを用いたナス葉の固有振動数変化の学習を進行させ、予測データと健全時の実測データとの整合性を高めるために、使用するデータの間引き等を検討することにより日周変動する葉の固有振動数変化の予測精度の改善を行う予定である。その上で、水ストレスを受けているデータの判定システムの構築の検討も行う予定である。また、DNNの中でも画像認識に特化したCNN(Convolutional Neural Network)を用いて成長&日周変動を捉えた葉の写真を学習し、クラスタリングを行い、水ストレスによるしおれ検知システムの構築についての検討を行う予定である。なお、研究成果は国内学会にて報告を行う予定である。
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Causes of Carryover |
植物を用いた計測は連続的に実施されており、健康時のデータは比較的豊富に集まりつつあるが、灌水停止等の影響による水ストレスの影響を受けたデータはまだ十分ではない。深層学習を適用して、日周変動する葉の固有振動数変化の予測精度を向上させるためには、データ数を増やす必要がある。そのため、継続的に植物育成および灌水停止実験を繰り返し実施する予定である。そのために、主として人件費と消耗品費に使用する予定である。
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