2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a temperature response model using gene expression caused by microclimate change.
Project/Area Number |
21K05861
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
望月 遼太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 研究員 (90846065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 達郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, グループ長補佐 (00469842)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 温度応答 / 微気象 / RNA-seq / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
寒冷地での栽培が主流な普通ソバを用いて、作物体の温度応答を調査した。まず他殖性である普通ソバから作出した自殖系統の栽培試験を人工気象器で行った。これにより高温耐性系統と感受性系統それぞれの結実数や開花数など生理応答が異なる温度域を定めることが出来た。得られた温度域で栽培した耐性系統と感受性系統の葉、蕾、花など各器官をサンプリングし、RNA-seqによる遺伝子発現解析を実施中である。現在は器官に依らず温度応答する遺伝子の特定を行っており、機能未知であった遺伝子の同定を進めている。 圃場における普通ソバの群落内微気象観測を行い、高度別の気温、葉温を観測した。5月下旬の結果ではあるが、群落内気温は2m高度と比較して夜間は地際部で約2℃低くなる一方で、日中帯は1℃以上の差を観測できなかった。水稲や大豆群落では日中帯の群落内外の気温差が普通ソバより顕著であるため、普通ソバの草型が水稲等に比べて疎であることが原因ではないかと推察した。普通ソバの各器官の温度応答に、群落内微気象を用いる有効性を検討することは、より正確な温度応答遺伝子の発現検討を圃場で実施する際に役立つだけでなく、草丈の高低や結実高度といった新たな育種目標を得るための重要な知見となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、温度応答遺伝子の探索を実施するためのRNA-seqを実施した。サンプル数は当初計画よりも先行して確保することに成功したが、葉から抽出したサンプルの品質に問題がありRNA-seqによる解析が先延ばしとなっている。本年度は、葉のサンプルを含む対象サンプルすべてを解析し、温度応答遺伝子候補群を選定しリアルタイムPCRによる生育時期別の定量評価につなげていく予定である。圃場試験については当初計画通りの作業進捗と結果を得ている。総合すると遺伝子解析の部分で慣れない工程ということもあり作業手順が前後している点もあるが、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
一部先送りとなったサンプルの遺伝子解析を実施し、温度応答遺伝子の選定を速やかに実施する。現状の解析サンプルでは葉以外の部分で発現する温度応答遺伝子の検討のみしか実施できないが、円滑な解析実施のために現状のサンプルのみでも一度解析およびリアルタイムPCRによる検討を同時並行的に進めていく。また圃場試験においては、本年度は夏季期間に普通ソバを栽培することで温度応答遺伝子の応答を評価する際の群落内気温を用いる有効性を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
RNAseq解析実施にあたり、サンプルを初年度にどの程度準備できるか不明であったことから前倒しとなる可能性を考慮して予算を初年度に多く配分した。しかしながら、葉から抽出したRNAサンプルの品質が解析に十分なレベルでサンプリングすることが出来なかった。葉サンプルの再送付が6月以降となったため、初年度にRNA-seqで解析することが出来なかった分、余剰が生じている。余剰資金については2022年度中にRNA-seqに利用する予定である。
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