2021 Fiscal Year Research-status Report
有線ドローンの風圧を利用した施設栽培環境下における作物の群落内計測手法の開発
Project/Area Number |
21K05864
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
深津 時広 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, グループ長 (40355483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪田 将吾 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業機械研究部門, 主任研究員 (90643388)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 群落内計測 / 有線ドローン / 施設栽培 / 風圧モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、施設栽培環境下において作物の栽培管理を行うのに重要な、作物群落内の様子を施設内全域にわたり効率的かつ詳細に計測する手法の確立を目指す。本研究課題を実現するにあたり、施設内を安全に飛行できる有線ドローンを開発し、さらにドローンの風圧を利用して群落内や葉の裏などを計測できるモニタリングシステムを提案する。特にイチゴ栽培における群落内には、作物の生長状態を把握するのに重要な新葉が隠れており、これを計測できれば収量予測や生育診断を高精度に行うことが期待される。またGNSSの受信が不安定な施設内で安全・簡単にドローンの飛行を行うことができれば、ドローンによる施設内全体のスマートセンシングが行えるとともに、ドローンの風圧を利用した作物群落内の詳細計測を効率的に行うことが期待される。 有線ドローンの施設内飛行の実現と、風圧を利用した群落内観測の実現に向け、本年度は次のことを行った。有線ドローンについては、有線によって施設内の安全飛行が確保される一方で離着陸・飛行時の制御手法が従来のものと大きく異なるため、様々な制御アルゴリズムを試験できる有線ドローン用制御コントローラの開発と、有線ドローン飛行のための実験装置の開発を行った。また風圧モニタリングについては、作物を傷つけずに群落内の対象を観測するのに適した風圧の条件について試験するとともに、加えた気流の強さと葉の投影移動量についての関係式を明らかにした。また風圧を加えたときに撮影された画像から若葉の葉柄長や葉面積などを算出するアルゴリズムについても開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の推進体制として、有線ドローンの研究と風圧モニタリングの研究に分けて同時並行で進めながら、担当者同士による情報交換を密に行うようにした。2021年度の研究計画では、有線ドローンが機体設計・制御アルゴリズムの開発準備であり、風圧モニタリングが群落内計測のための適正風圧調査・解析であり、計画通り順調に進展している。また群落内の生長点露出に必要な気流条件について一定の成果が得られたため、研究をさらに先に進める前に学術的なレビューを受けることとし、原著論文の執筆を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に行った研究をベースに、有線ドローンについては実験装置を用いて有効な飛行制御アルゴリズムの開発や、有線ドローン実現のための拘束機構などについて検討を進める。風圧モニタリングについては、群落内の観察対象を明瞭に抽出するための露出制御手法の検討や画像検出アルゴリズムの開発を進めていく。また、それぞれの研究課題の応用・拡張についても検討していく。
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Causes of Carryover |
本年度は出張・実験機材購入などについてコロナ禍の影響から一部の研究経費が未執行となり次年度使用額となった。また先の進捗状況に述べたとおり、風圧モニタリングの研究において本年度は一定の成果が出た時点で論文の執筆を優先したため、風圧モニタリングに係る次段階の研究準備の費用が次年度使用額となった。次年度では、今後の推進方策で述べた通り2022年度の実験計画を遂行するとともに、研究課題の応用・拡張についても検討していくことから、研究を加速させるため未使用額と次年度の研究費と合わせて効率的に使用する予定である。
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