2023 Fiscal Year Research-status Report
プラスチック生分解が引き金となる難分解添加剤放出による海洋環境汚染の加速評価基盤
Project/Area Number |
21K05870
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
大田 ゆかり 群馬大学, 食健康科学教育研究センター, 講師 (40399572)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生分解性プラスチック / 難分解性添加剤 / 加速評価 / 酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生分解性プラスチックと同時に使用される人為起源の難分解性化学物質に着目し、基盤材料の生分解過程で放出されるこれらの分子の検出を可能とすることを目指して、実験室内でのモデル分解系の構築を行っている。市販のプロテアーゼ、リパーゼなどを作用させることで、生分解性プラスチックの分解は可能であるが、その分解速度や酵素の安定性はまだ不十分である。 昨年度は生分解性プラスチックのうち最も使用量の多いポリエステルの分解酵素として、Bacillus属細菌の持つクチナーゼの一種、Poly(3-hydroxybutyrate) depolymeraseの発現コンストラクトを作成した。本年度は、さらに安定した分解活性を得るため、同じくクチナーゼ酵素群の1つとして、耐熱性菌Thermobifida fusca KW3(TfCut2)に由来するクチナーゼの組換え生産を試みた。本酵素はPET分解過程の一部の加水分解を触媒すると期待されている。続いて、ポリエステルに次ぐ使用量を持つ生分解性プラスチックであるポリウレタンの分解酵素として、アミダーゼファミリーに属するウレタナーゼの発現系も追加した。本酵素はウレタン汚染土壌のメタゲノムから発見されたものであり、ポリエーテル-ポリウレタンフォームの化学分解によって生じる低分子量ジカルバメートを加水分解することができる。上記により、酵素分解の対象とするプラスチック種を拡充することができた。実際の生分解性プラスチック分解とその分解物の検出については、今後の課題とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、実際の生分解性プラスチック分解とその分解物の検出までを予定したが、本課題で当初ターゲットと想定したプラスチックに添加された化合物の情報が入手できず、分析系の構築指針を立てるのが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
残課題である分析系の構築については、研究期間を延長して検討を進める。酵素分解のならず物理化学的分解の導入も検討し、元素分析データなどから組成構造を推定することも手掛かりになると考えている。
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Causes of Carryover |
多数の検体を分析する予定であったが、分析条件設定が難航したことで分析数を多くすることが出来なかった。研究期間を延長し、分析手法を追加して分析条件を確立する。
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