2021 Fiscal Year Research-status Report
Creation of high functional soil aggregates for wastewater treatment imitated by soil structure modification abilities of soil animals
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21K05874
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
佐藤 邦明 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (60533289)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 土壌団粒 / 土壌式水質浄化 / 生物模倣技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌を利用した水質浄化法で最も重要なことは浄化の核心部である土壌団粒へ,いかに有効に汚水を接触浸透させるかであると示してきた。そこで,耐水性の水質浄化用土壌団粒を作成し,土壌への汚水の接触を極限にまで高めようと考えた。自然界における土壌団粒の形成には土壌動物の働きが大きく関与し,土壌食性の大型土壌動物は糞の排出,巣や坑道の作成によって土壌構造を改変している。温帯広葉樹林や熱帯雨林では大型土壌動物が多く, これらの森林での高い生産力を土壌動物が維持しているとの指摘がある。この生産力の高さは循環能が高いことも意味すると考えられ,土壌動物の作る土壌構造は高い環境浄化能を有する可能性がある。そこで本研究では,土壌動物の土壌構造改変能を模倣してサイズや形状の異なる人工土壌団粒を作成し,その水質浄化能の評価を試みる。そして,土壌の持つ水質浄化機能を極限にまで引き出す土壌団粒構造の確立を目指す。 令和3年度では,土壌動物の土壌構造改変能を模倣した土壌団粒として,サイズの異なる粒状団粒の作成と窪み状団粒の作成を試みた。粒状団粒ではベース土壌として赤色土と黒ぼく土を用い,混合資材としてゼオライト粉を使用した。押出造粒後に球形整粒し,直径2㎜~9.5㎜の範囲で4段階に分けて粒状団粒を作成した。窪み状団粒については,3Dプリンタで鋳型を作成し,複数サイズの団粒作成方法について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画の通り,土壌動物の土壌構造改変能を模倣した土壌団粒の創製を目指し,粒状団粒と窪み状団粒の作成を試みた。粒状団粒では押出造粒時の水分量や整球時の回転時間等の条件によって形状やサイズに違いが出た。試行錯誤によって最適条件を見出し,赤色土と黒ぼく土をベースとしてゼオライトを配合した粒状団粒について,それぞれ4サイズ(2~4㎜,4~5.6㎜,5.6~8㎜,8~9.5㎜)を作成した。 窪み状団粒については,3DCADソフトにて3Dモデルを作成し3Dプリンタにて鋳型を印刷した。鋳型の素材やサイズ,土壌の粒形や水分条件を変えて,窪み状団粒の作成条件の検討を行った。円筒カラムによる水質浄化試験を実施するにあたり,必要量を作成する目途が立った。 新型コロナウィルスに対する大学の規制も影響して,粒状団粒および窪み状団粒の作成に時間がかかったが,準備が整い次第,随時水質浄化試験を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に作製した粒状団粒について,性能評価を行うため円筒カラムに人工団粒を詰め,有機物・窒素・リン除去を目的に水質浄化試験を行う。そして,原水負荷(濃度,負荷量)の違いによる処理性能への影響評価も実施する。また,窪み状団粒についても,異なるサイズの団粒を作成し水質浄化試験を行うことで,その性能評価を行う。サイズの違いや窪みの有無による処理性能の違いを評価する。並行して,円筒状団粒の作成にも取り掛かる。 浄化試験終了後は人工団粒の浄化メカニズムを評価するため,浄化後資材を対象に理化学性の分析や微生物性の評価を行う。これらの結果と水質浄化能との関係から人工団粒のサイズや形状について評価し,土壌の水質浄化機能を極限にまで引き出す土壌団粒構造の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
人工土壌団粒の作成に時間がかかり,水質浄化試験の開始が次年度となった。また,新型コロナの影響で学会発表がオンラインでの開催となり旅費が発生しなかった。 次年度に実施する水質浄化試験や浄化後資材の解析に係る経費,データ解析のための書籍の収集に本経費を活用する。また,研究成果を学会で発表するための旅費や論文投稿費にも使用する計画である。
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