2021 Fiscal Year Research-status Report
土壌中の炭―鉄電池反応が誘導する物理化学生物的作用の解明と汚水処理機能強化
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21K05875
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
増永 二之 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (10325045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 誠 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (00403460)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 土壌 / 電池反応 / 汚水処理 / 微生物叢 / 窒素動態 |
Outline of Annual Research Achievements |
予備試験として鉄と炭の電池反応を確認した。鉄板(2x5x0.2cm)と炭素板(4.2x12x0.8cm)を接触させずに土壌に3cm埋設して銅線で繋いで電流と電圧を測定した。測定は、鉄板と炭板の距離(10-25mm)と、土壌に添加する水の塩類濃度を変えて(蒸留水- 6mol/L NaCl)行なった結果、鉄と炭素板の間に発生する電圧は距離と塩類濃度に依存せず0.50-0.58Vの値を示した。一方、電流(0.3-10.4mA)は鉄と炭板間の距離に反比例、塩類濃度に比例した。鉄―炭電池反応で発生する電圧は、Alと備長炭の電池反応(0.9mV, 松本2019)の60%程度であった。炭板は粉炭の造形物は内部抵抗が大きく電流が流れにくいため、汚水処理試験では高密度の市販の炭素板を使用した。 直方体のカラム(D20xW20xH20cm)の中央に活性鉄含量の少ない砂土の土壌層(D10xW10xH10cm)を配置し,(1)鉄板と炭板設置(3cmの距離を空けて3cm埋設して上部を銅線で接続),(2)鉄板のみ埋設設置、(3)土壌のみ の装置を作成し汚水処理試験を行なった。鉄板と炭板はそれぞれ負極(-)と正極(+)となり、お水中のアンモニウムイオンは鉄板の付近に比較的高濃度に分布することが確認された。しかし、硝酸・亜硝酸イオンの濃度分布への影響は確認できなかった。汚水処理開始1週間後には鉄板付近のリン酸濃度が低下し鉄の溶出が生じていることが推察され、3週後には鉄表面に酸化鉄の集積が目視で確認され、電池反応により鉄の溶出と酸化が促進された。4ヶ月の試験後、装置内部土壌を採取し、微生物叢の解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
土壌層の酸化還元電位の測定方法に課題が生じ、鉄板近傍の還元状態を表すデータを採取することができなかった。また、年度内に終了予定であった、1回目の試験の微生物叢解析が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の水分析結果および微生物群集構造解析結果を踏まえて、実験装置の構造を改変して汚水処理試験を再開して以下の解析・評価を行う。土壌水と処理水の採水分析による各物質(遊離鉄,リン酸,硝酸,亜硝酸,アンモニア)の動態を解析、土壌Ehおよび硝酸態窒素の減少時期の窒素代謝に関わる微生物叢の解析と鉄―炭電池反応の作用評価、処理試験終了時の未反応の鉄重量から電池反応による鉄の還元(遊離)速度を算出し窒素、リン酸除去との定量的関係を評価する。2-3年目の試験を通じて3種のカラムの測定・分析結果の比較を行い鉄―炭の電池反応による各プロセスの促進作用を定量的に解析する。
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Causes of Carryover |
土壌層の酸化還元電位の測定方法に課題が生じ、この改善のために処理試験の開始をおくらせたため、汚水処理試験の資材費の一部および微生物叢解析費用を次年度に使用するため。
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