2021 Fiscal Year Research-status Report
作物残渣における一酸化二窒素発生に至る糸状菌の窒素代謝プロセス解明
Project/Area Number |
21K05884
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
星野 裕子 (高田裕子) 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (40354104)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 一酸化二窒素 / 農耕地 / 糸状菌脱窒 |
Outline of Annual Research Achievements |
農耕地からの微生物活動により発生する一酸化二窒素(N2O)は、強力な温室効果、オゾン層破壊の性質を有し、発生機構の解明が大きな課題である。農耕地の環境は非常に複雑で、多種多様な微生物が関わる複合微生物系の中で、詳細なメカニズムは解明されていない。 圃場からのN2Oは主に細菌により発生すると考えられてきたが、圃場における重要なN2O発生源のうち作物残渣由来のN2O発生において、発生ガスの安定同位体比の解析と、分離糸状菌の解析やメタゲノム手法による糸状菌動態解析により、糸状菌脱窒の寄与が高い可能性が見出された。 本提案課題では、作物残渣からの一酸化二窒素発生に焦点を絞り、分離糸状菌と圃場サンプルの両方の遺伝子発現レベルで解析することで、より詳細に発生メカニズムを明らかにすることを目的としている。 分析対象とする分離糸状菌をさらに絞り込むために、前科研費(15K07818)で得られている圃場作物残渣サンプル由来の糸状菌ITS領域等を対象とした次世代シーケンスアンプリコン解析データをより詳細な解析を行った。この結果から3つのグループの分離菌に絞り込んだ。これらの糸状菌についていくつかの培養条件でのガスの発生を調べるとともに、total RNA抽出法の検討を実施した。一方で、計画を前倒しし、分離糸状菌に加えて圃場由来の作物残渣サンプルからのtotal RNA抽出法の検討を行った。作物残渣由来のtotal RNAから糸状菌脱窒遺伝子の発現がRT-PCRにより確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前科研費(15K07818)で得られた次世代シーケンスデータのより詳細な解析により解析対象の分離糸状菌を絞り込み、いくつかの培養条件でのガスの発生を検討した。基質の種類や酸素濃度による応答を検討し、一定のデータが取得できたが、一部、機器の不具合や培養の失敗により再解析が必要となった。分離糸状菌の解析で遅れがあった一方で、圃場サンプルの解析については、前倒しで解析をスタートさせ、作物残渣サンプルからのtotal RNA抽出法の検討を行い、作物残渣由来のtotal RNAから糸状菌脱窒遺伝子の発現がRT-PCRにより検出できることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
分離糸状菌については、再度培養試験を行う。N2O発生条件のサンプルについて、遺伝子発現解析を進める。圃場サンプルについては、作物残渣が圃場に放置されている期間、何度かサンプリングを行う。採取サンプルのガスの測定を実施し、解析を行うサンプルを選抜する。
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Causes of Carryover |
実験補助員の適任者を当初確保できず、また、培養実験系の確立が遅れたため、人件費の使用がなかった。次年度の賃金として使用するとともに、培養実験、ガスの測定のための試薬や消耗品等購入に使用する予定である。
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