2023 Fiscal Year Research-status Report
作物残渣における一酸化二窒素発生に至る糸状菌の窒素代謝プロセス解明
Project/Area Number |
21K05884
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
星野 裕子 (高田裕子) 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (40354104)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 温室効果ガス / 一酸化二窒素 / 糸状菌脱窒 / 脱窒系遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
作物栽培後に圃場に放置される作物残渣は、重要な一酸化二窒素(N2O)発生源になりうる。特に、6-7月の梅雨時期に残渣を放置した圃場から高いN2O発生が見られている。3月より春作ジャガイモを圃場で栽培し、慣行に従い、収穫前にあたる6月に地上部を切除し2週間程度放置後、残渣すき込みと収穫を実施した。これまでの試験によりN2O発生源が残渣自体であったことから、2週間の放置期間の間に4回、圃場から残渣の回収を実施した。回収した残渣から発生するN2Oを採取し、発生量を測定するとともに発生N2Oについて安定同位体比を測定した。圃場からのN2O発生は、硝化、細菌脱窒、硝化菌脱窒、糸状菌脱窒など様々な経路により生成するが、安定同位体比により経路の推定が可能である。回収日時により、発生N2Oの安定同位体比は異なった。残渣サンプルは、分解が経時的に進むともに水分状態が日により大きく異なったことから、サンプルの状態により、N2Oの発生経路が変化すると考えられた。さらに、残渣サンプルからDNAおよびRNAの抽出を行った。これらの抽出DNA及びRNAについて、昨年度、分離脱窒糸状菌の解析に用いた糸状菌の脱窒遺伝子を対象としたプライマーを用い、サンプルの乾物重当たりの遺伝子存在量および発現量について定量PCRにより測定した。遺伝子の存在量は、残渣放置期間に徐々に増大する傾向にある一方で、遺伝子発現量は日により大きな変動が見られた。安定同位体比の変化との関連を現在解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3か年の計画だったが、2年目に実験が進められなかったため、1年課題を延長して実施することとした。2年目に実施できなかった圃場試験を、3年目に実施し、解析に必要なデータの取得が完了できた。
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Strategy for Future Research Activity |
4年目となる今年度は、データ解析を実施し、取りまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
研究2年目に研究者が病休を取得したため全体的に研究の進行が遅れている。試料の追加分析と解析、取りまとめの経費を次年度に繰り越し計画を追行することとしたため。
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