2023 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪酸のTLR10発現誘導機構の解明と生体塗布での抗炎症作用の検証
Project/Area Number |
21K05889
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
河原 岳志 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (30345764)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Toll様受容体10 / 脂肪酸 / 皮膚角化細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は過酸化された脂肪酸である9-HpODEがヒト皮膚角化細胞において、アシル基の構造依存的にToll様受容体(TLR)10の発現を誘導する現象を見出した。しかし発現誘導される機序は明らかにされていない。本研究では不飽和脂肪酸の酸化により生じる過酸化物(過酸化脂肪酸)に対する排除が細胞応答の本質にあるのではないかの仮説のもと、長鎖脂肪酸の受容体として知られるPPARsやGPRsを対象に、TLR10の誘導への関与について解析を行った。 脂肪酸をリガンドとして認識すると報告されている核内受容体PPAR-α、-β/δ、-γならびにGタンパク質共役受容体GPR40、GPR120を対象に、HaCaT細胞を上記5種の脂質受容体のアゴニストによる処理でTLR10が誘導されるかについて評価した。またHaCaT細胞を上記受容体のアンタゴニスト混合物で処理し、誘導されるTLR10発現に及ぼす影響について評価を行った。 5種の脂質受容体それぞれのアゴニスト処理がTLR10の発現に及ぼす影響を確認した結果、全てのアゴニストにおいて処理後1時間でTLR10の発現が誘導された。また今回用いた脂質受容体アンタゴニストの混合物での処理により、脂肪酸によって誘導されるTLR10の発現誘導が顕著に抑制された。過去の検討において、個々のアンタゴニストでの単独処理では有意な抑制はみられていないことから、TLR10の誘導には少なくとも今回アゴニストで応答がみられた脂質受容体が協調的に関与している可能性が示唆された。
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