2021 Fiscal Year Research-status Report
Search for blood factors that connect changes of the environmental brightness and the birth timing
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21K05895
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
天野 朋子 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (60388585)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 出産時刻 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では昼夜条件(明期12時間と暗期12時間を交互に繰り返す条件)と恒暗条件(終日消灯する条件)におけるマウスの出産時刻の差異を確認したのち、両試験区のマウスの血中成分の比較から、出産時刻を制御する血中成分を明らかにする予定である。2021年度は昼夜処理の解析を主に進め、平均妊娠期間は20.38日、平均出産時刻は点灯開始後19時間3分(n=12)であることを確認した。さらに恒暗処理でも同数のマウスの出産時刻のデータを採取している途中である。2021年度は、未知の出産時刻制御物質の血中濃度が明暗サイクルの変更に付随しており、昼夜の時間の変更にて出産時刻を制御し得る可能性も検討するため、昼夜や恒暗の処理だけでなく、妊娠の中途(妊娠6日目)において昼夜サイクルをずらす処理(8時間の前進/後退) が出産時刻に与える影響の検討も開始した。この試験区についても必要に応じ、採血・血中成分の分析と比較を行う予定である。また既報では、出産時刻の制御には、血中成分であるメラトニンの日内変動が強く関連するとされている。そこでメラトニンが既報通り出産時刻を主動因として制御するのか、それとも今後発見が期待される未知の血中成分の方が強い効果を持つのかを明らかにするため、2021年度は現在用いているMTマウスと同系統でメラトニンが合成できるものも入手・増殖を行った。今後、これらにつき昼夜、恒暗、昼夜サイクルの変更の条件で飼育して出産時刻を調査し、必要に応じて採血・血中成分の分析と比較を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では昼夜条件と恒暗条件におけるマウスの出産時刻の差異を確認したのち、両試験区のマウスの血中成分の比較から、出産時刻を制御する血中成分を明らかにする予定である。2021年度は昼夜処理、恒暗処理の出産時刻の変化をメラトニン合成不全マウス(MT不全マウス)にて確認した後、妊娠18-19日にかけて採血し、2022年度以降の血中成分の網羅的な比較に備える予定であった。しかしコロナ禍にてMT不全マウスの作成・納入が遅れたため、2022年4月現在もまだ昼夜処理と恒暗処理にて出産時刻を確認している段階である。しかしマウス入手後、実験は順調に進んでおり、すでに昼夜処理における平均妊娠期間は20.38日、平均出産時刻は19時間3分(昼12時間、夜12時間を繰り返す条件で飼育した際の点灯開始後の経過時間、n=12)であることを確認し、恒暗処理でも同数のマウスのデータを採取している途中である。以上の理由から、2021年度の進捗は「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、メラトニン合成不全マウスを昼夜条件、恒暗条件にて飼育して出産直前に採血をおこない、出産時刻を制御する血中成分の同定を進める。また昼夜条件や恒暗条件に加え、昼夜サイクルを妊娠期間中に変更する条件も追加し、血中成分の同定をより詳細な条件でできるよう下準備も進める。また同系統でメラトニンが合成できるタイプのマウスを増殖させたので、今後調査する未知の出産時刻決定因子とメラトニンのどちらが出産時刻により強い影響を持つのか、確認する検討も進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍によりマウスの作成・納品が遅れ、マウス血清の回収が進まなかったことが主要因である。加えて昼夜条件や恒暗条件など、照明の制御下でのマウスの出産行動の観察につき、当初は2021年度にライトコントロールや空調、カメラなど、全設備がオールインワンになったマウスラックを一括購入する予定であった。しかし手持ちのマウスラックに手作業でライトコントロールやカメラを順次購入して手作業で設置する方が、ラック内の騒音が抑えられマウスへのストレスが少なく、照明時間や照明の強度の変更も容易で精密な実験が行えることなどが判明し、ライトコントロール、カメラなどを一括ではなく、必要になり次第、順次購入・設置する段取りとなった。そのためラックの費用を今年度一括ではなく、来年度にかけて分割して支払うこととなり、次年度使用額が生じた。そのため2022年度も引き続きマウスラック整備用品(ライトコントロール、空調用品、カメラ、仕切り板、工具類など)を購入していく。
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