2023 Fiscal Year Annual Research Report
新たなサイレージ調製技術の確立に向けた特異的オリゴ糖代謝機構の解明
Project/Area Number |
21K05898
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
西本 完 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (30399381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 寿美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (80609701)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Loliose / サイレージ |
Outline of Annual Research Achievements |
R5年度は前々年度に示唆されていた複数のロリオース代謝経路の可能性について検証した。以前実施したロリオースのみを炭素源とする培地での培養試験における培養後の培養上清を用い、その中に残存するオリゴ糖について詳細な検討を行った。遠心分離、フィルターろ過により菌体を除去した培養上清を液体クロマトグラフィーに供することで培地中に残存する糖分析を行った。その結果、ロリオースを利用できる微生物は、①そのまま取り込む、②ガラクトースを遊離させそれを優先的に取り込む、③フルクトースを遊離させそれを優先的に取り込む、という3種類の利用形態が明らかにすることができた。また、ロリオースがサイレージ発酵品質に及ぼす影響を検証するため、無予乾および予乾したイタリアンライグラスにロリオースを4.5%含有するイタリアンライグラス種子抽出濃縮液もしくは滅菌水をそれぞれ10% v/w添加してサイレージ調製を行った。貯蔵30日後に開封し、サイレージ品質の重要な指標となる酪酸含量を分析したところ、すべてのサイレージから酪酸は検出されず、良質なサイレージであった。本試験では原料中にサイレージ低質化に関与するClostridium属細菌が検出限界以下であったため、ロリオースがサイレージ発酵品質に与える影響については、さらに検証を行う必要がある。 研究期間全体を通してほぼ計画通り実施することができ、イタリアンライグラスやそのサイレージからロリオースを利用可能な微生物を見いだせたことは本研究の今後の進展に大きな意味を持つ有用な成果である。
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