2022 Fiscal Year Research-status Report
長期維持型卵胞の形成増強法の開発および卵胞動態制御への影響の解析
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21K05906
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉本 実紀 京都大学, 農学研究科, 助教 (20243074)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 卵巣 / 哺乳類 / 雌 / 生殖寿命 / 卵胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の卵巣では未成熟期から発育を開始する早期発育型卵胞と性成熟後まで休眠・維持されて生殖寿命後期の卵子産生に寄与する長期維持型卵胞が形成されることが明らかになってきた。本研究では、長期維持型卵胞形成の増強により雌の生殖寿命を延長することは可能か、また、早期発育型卵胞の減少が卵胞動態への影響を与えるかを解析しようとしており、そのために長期維持型卵胞を形成する顆粒層前駆細胞の採取、解析、細胞の追加や機能性因子による操作等を行うことを計画している。本年度は、マウス胎仔/新生仔卵巣において長期維持型顆粒層前駆細胞と推定されているLgr5発現細胞と同じ細胞集団において高発現であったという報告があるGng13の機能解析の一環として、前年度から継続してマウス胎仔卵巣の器官培養系においてGタンパク質シグナル伝達経路に対する刺激の効果を検討した。現在までの解析では(全体的なサイズの変化が発生しているようであるものを保留など未解析あり)、検討範囲内での高濃度添加区の組織標本で対照区と比較して卵巣中央部の断面のアスペクト比の低下が認められたが、その他には計測された卵胞数が平均としてはやや上昇したが有意な変化ではなく、卵胞発育段階の構成比等においても変化は見られなかった。また、刺激剤に含まれていた添加物の影響が考えられたので、異なるメーカーの試薬での追加実験を試みたがこれにも同種の添加物が含まれており、予定を変更して、先の実験での高濃度添加区と同じ濃度での処理を培養の前半または後半に行うことにより添加時期の効果を検討した。年度内に解析した標本では、前半に添加を行った処理区で全期間添加区と類似した断面のアスペクト比の変化が見られたが、その他の要素については卵巣間の変動が大きく一定した傾向は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
機能性因子の作用の検討について、得られた標本の解析が未完了で結果が確定できなかった。細胞分画の条件設定については、予定した実験を行うことができず、予定していた遺伝子発現解析の材料を揃えることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Gng13の刺激の効果に関して、採取済みの標本の解析を行うとともに、阻害剤処理や発現抑制等による特異的作用の確認を検討する。細胞分画・採取については、使用する抗体、染色条件での改善も検討するが、タンパク質としての発現が少ない可能性があるのでmRNA発現に基づく手法(蛍光in situ hybridization法等)の適用を検討する。また他に有用なマーカーを検索し、それを用いた細胞分画・採取や機能解析を行う。長期維持型顆粒層前駆細胞の採取が可能になれば、遺伝子発現に基づく機能解析や卵巣への追加の効果の検討を行う。培養系で効果を表す因子が同定できれば、移植や個体への投与により効果を検討する。
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Causes of Carryover |
全体に実施が遅れたことが主な原因である。次年度の試薬、器具類、実験動物の購入、共通機器使用料、遺伝子解析等の外部委託の費用に使用する。
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