2021 Fiscal Year Research-status Report
経済的で高効率なブロイラー異常胸肉の発現抑制飼育技術の開発
Project/Area Number |
21K05907
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
岩崎 智仁 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (30305908)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニワトリ / 異常硬化胸肉 / 酸化ストレス / 採卵日齢 / ヒナ品質 |
Outline of Annual Research Achievements |
養鶏業界において全世界的にブロイラーの胸肉異常が生じている.特に胸肉が異常に硬くなる異常硬化胸肉(wooden breast, WB)については,鶏の成長速度ならびに性差が胸肉の異常硬化に及ぼす影響についての報告はあるが,採卵日齢がWBの発現に及ぼす影響についての報告はないことから,2021年度の試験研究にて調査を行なった.日齢200日(Yg),300日(Md)および445日(Od)程度の種鶏から得られた受精卵を孵化させ,46日齢まで飼育してWBの発現指標である挙上試験,筋線維の真円度,ならびにリポフスチンの蓄積量の解析のほかに, WBの発現に関連する抗酸化酵素関連遺伝子群とミトコンドリアダイナミクスの関連遺伝子群等について発現解析を行なった.導入時の卵重量はYgが最も軽く,ヒナの初期体重(0日齢)についてもYg 群が有意に軽かった.これらの結果は,予想通りであり,採卵日齢がヒナの体重(品質)に影響していることが確認された.46日間飼育した後に,挙上試験ならびに筋線維の真円度解析した結果,それぞれの試験において採卵日齢306日のMd群で有意に高い数値を示したが,酸化ストレスマーカーの一つであるリポフスチンの蓄積量に差異は認められなかった.加えて,活性酸素種を無毒化する抗酸化酵素関連遺伝子群,ならびに活性酸素種の主要発生源であるミトコンドリアの動態に関する遺伝子群等の発現においても,3群間に有意差は認められなかった.以上のことから,採卵日齢に起因するヒナ品質はWBの発現に大きくは影響しない可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,採卵日齢の異なる種卵を入手し孵化させたヒナを所定の日齢まで飼育して,異常硬化胸肉の発現に及ぼす影響を調査することができた.得られた結果は当初予測とは異なっていたが,養鶏産業全体のことを考慮すると,むしろ歓迎され得る結果であると考察している.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度はヒナの品質がWBの発現に及ぼす影響について調査を行なった.2022年度からは飼料栄養がWBの発現に及ぼす影響について調査ととりまとめを開始する.当初の計画を着実に実行することで,本研究の目的は達成される.
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症による入校制限にて作業日程の減少と既存整備品の故障等による影響が重なり,一部の試験が未実施であることが次年度使用額が生じた原因である. これらの要因は解消しつつあり,計画最終年度までには未実施の試験を終了できるように作業内容を調整する予定である.
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Research Products
(3 results)