2022 Fiscal Year Research-status Report
ブタの時間栄養学 ー時間限定給餌で空腸の膜消化酵素活性が高くなる時間を操作するー
Project/Area Number |
21K05910
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
勝俣 昌也 麻布大学, 獣医学部, 教授 (60355683)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 時間栄養学 / 時計遺伝子 / 膜消化酵素 / 腸内細菌叢 / ブタ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度も引き続き「活動期に限定して飼料を給餌する明期限定給餌」「休息期に限定して飼料を給餌する暗期限定給餌」で離乳育成豚を飼育し、これらの給餌方法が「ブタの時計遺伝子」「小腸の消化酵素の活性」「腸内細菌叢」の日内変動に及ぼす影響を解析した。 4週齢の去勢雄豚を7時から19時点灯、19時から7時消灯(12時間明12時間暗)の光環境で単飼した。明期限定給餌の供試豚には7時から19時に不断給餌(19時から7時は絶食)、暗期限定給餌には19時から7時に不断給餌(7時から19時は絶食)した。水は24時間自由飲水とした。以上の条件で3週間飼育し、3時、9時、15時、21時に血清、視交叉上核、空腸、回腸、肝臓、胸最長筋、菱形筋、皮下脂肪内層を採取した。また、腸内細菌叢に及ぼす影響を解析するために盲腸内容物を採取した。 予定した飼養試験は2023年4月に終了し、時計遺伝子の発現と小腸の酵素活性は解析中である。腸内細菌叢については解析が終了し、Lactobacillus reuteriとLactobacillus taiwanesisの割合が日内変動することが明らかとなった。明期限定給餌では、両菌種とも9時の割合が最も高く、次いで3時、21時、15時の順に低くなり、9時と15時の間には差があった(P<0.05)。一方、暗期限定給餌では、両菌種とも21時の割合が最も高く、次いで15時、9時、3時の順に低くなり、21時と3時の間には差があった(P<0.05)。両菌種の割合が日内変動する位相には明期限定給餌と暗期限定給餌の間で12時間のずれがある。このことは、両菌種の割合の日内変動に飼料摂取が影響したことを強く示唆している。しかし、どのようなメカニズムが作動してこのような変化が生じたのかは現段階では明らかではなく、今後の研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時計遺伝子の発現、小腸の膜消化酵素活性についても研究期間内(2023年度中)に終了できる見込みであること。また、予定どおり、2023年度は「24時間不断給餌」「明期限定給餌」「暗期限定給餌」の3つの時間限定給餌方法が飼料の消化率に及ぼす影響を、ブタを供して検討できること。以上が理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き時計遺伝子の発現、小腸の膜消化酵素活性について解析を継続する。そして、「24時間不断給餌」「明期限定給餌」「暗期限定給餌」の3つの時間限定給餌方法が飼料の消化率に及ぼす影響を、ブタを供して検討する。
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Causes of Carryover |
2022年9月にスペインで開催されたISEP2022に本課題の経費から支出で研究代表者が出張する予定であった。しかし、直前に研究代表者が新型コロナウイルスに感染し、出張のキャンセルを余儀なくされた。このことから試薬代などに支出する経費に余裕が生じたため次年度使用額が発生した。
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