2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K05913
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
笹岡 一慶 北海道大学, 獣医学研究院, 特任助教 (40846060)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳血管反応性 / 超音波検査 / 高磁場MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は脳循環の予備能力を示す脳血管反応性を対象とし、モダリティと負荷条件の検証により、超音波検査を用いた臨床応用可能な非侵襲的脳血管反応性検査法をイヌにおいて確立することを目的とした研究である。ヒトでは脳血管反応性は血管障害性疾患である脳梗塞のリスク因子に留まらず、認知機能不全や代謝性脳疾患など様々の脳疾患で低下することが明らかとなっており、脳疾患の根底に存在する脳血管反応性について注目が集まっている。しかしながら、犬や猫を実験動物として利用した基礎研究が過去に行われたものの、獣医臨床で利用できる侵襲性の低い脳血管反応性検査法は検討されておらず、いずれの疾患犬においても脳血管反応性は明らかにされていない。研究の初年度である本年は脳血管反応性検査法の条件検討に着手する計画であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により実験健常犬の確保に当初の想定を大幅に超えて時間がかかっている。一方で、高磁場MRIと経頭蓋超音波ドプラ法による脳血流測定モダリティでは、臨床症例において安定した測定を実施できている。また、本期間中に実験計画の再検討を行い、超音波検査による脳血管反応性検査の再現性の検証を最初期に実施する計画に再編し、さらに統計的な実験計画の検討により必要頭数を再試算して削減することが可能となる統計的結果を得た。これらにより次年度初期からの検討開始が可能な状況を整備することが可能となった。本研究により、獣医臨床で利用できる検査法を確立するということは、実験動物としての犬だけではなく、自然発症の疾患犬を対象にできるということである。人と動物が同じ疾患を持ちながらも、異なる特性を持つことに着目する概念は、汎動物学として近年着目を浴びており、互いの疾患に対する病態解明や発症要因、新たな治療法に迫る手がかりとなり得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度と次年度においては条件検討のために実験健常犬を必要としたが、新型コロナウイルス感染症の影響により実験健常犬の確保に当初の想定を大幅に超えて時間がかかり、本格的な実験検討に着手できるところである。一方で、ASL-MRIとTCDによる脳血流測定モダリティでは、臨床症例において安定した測定を実施できている。また、本期間中に実験計画の再検討を行い、TCDによる脳血管反応性検査の再現性の検証を最初期に実施する計画に再編し、さらに統計的な実験計画の検討により必要頭数を再試算して削減することが可能となる統計的結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度初期に実験健常犬を確保する見通しのため、実験計画に沿って研究を推進していく。また、再現性の検討が最初期に必要との判断から、超音波を用いた脳血管反応性検査について、1週間おきの検査を行う事により再現性を検討することを計画している。
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Causes of Carryover |
条件検討のために実験健常犬を必要としたが、新型コロナウイルス感染症の影響により実験健常犬の確保に当初の想定を大幅に超えて時間がかかり、本格的な実験検討に着手できるところである。また、同理由により旅費が発生しなかった。
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