2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on early prediction and preventive measures for prepartum type-2 ketosis reserve cows
Project/Area Number |
21K05925
|
Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
及川 伸 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (40295895)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 乳牛 / 2型ケトーシス / 予備牛 / リスク要因 / 予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①乳牛における2型ケトーシス予備群の実態調査、②予備牛の発生に関連する飼養管理上のリスク因子調査、③予備牛のリポタンパク質レベルでの病態分析と疾病発生対策の3つの試験を実施した。①と②に関しては同様の農場を対象とした。すなわち、研究協力者をとおして道央、道東、道南から29戸(群)が選定され、1農場あたり概ね12頭の分娩予定の2週間以内の牛から血液を採取し、計393頭に対して非エステル型脂肪酸(NEFA)濃度および各種血液生化学検査を実施した。NEFA濃度が0.4 mEq/L以上を基準として、頭数レベルでは6.6%が予備牛、群レベルでは17.2%が警戒群と診断された。予備牛の発生割合と飼養管理との関連性を分析するために、アンケート調査と居住環境調査も実施しており現在分析中である。研究協力者の所属診療施設によって対象農家依頼の事務手続きが違ったことにより、予定された農場数より少なくなった。加えて、コロナ禍のために農場調査も十分できなかった。③に関しては、大学近郊の2農場を対象に試験が実施された。分娩予定14日前、7日前、分娩後3日、7日、14日、21日の計6回の採血を行った。血液検査は共同開発しているポータブル機器を用いて現地で行われた。最初の採血時点でNEFA濃度が基準値以上を示した牛に5日間連続でプロピレングリコール(500ml/日)あるいはショ糖(1L/日)を与えた。対照牛として無投与牛も設定された。病態分析として血清を超遠心法によって超低比重リパタンパク質、低比重リポタンパク質、高比重リポタンパク質に分画した。現在、投与牛が13頭、無投与牛が9頭、基準値未満が95頭である。分娩3日目での2型ケトーシスの発生割合が投与群で無投与群よりも低かったが、継続して投与牛を増やす計画である。リポタンパク質の分画に多くの時間を費やしたので、各脂質成分値は分析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究はフィールドを用いた試験であるので研究協力者の所属診療施設(NOSAI)による事務的な対応の違いによって農場数が予定どおりに確保できなかったこと、コロナ禍での出張制限があったこと等の問題が生じた。2022年度からは北海道のNOSAIは5つのNOSAIが合併し1本化された。今後、コロナ禍の社会情勢を見極めつつ、農場を増やしてさらなる調査を推し進める。しかしながら、本研究では主とする3つの取り組みを展開することになっており、初年度から全ての取り組みに着手できた点は2022年度以降のフィールド試験の実際的な計画見通しや立案にプラス事項となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
前述のとおり本研究では3つの取り組みを予定しており本年度から全て走らせることができた。次年度以降も継続実施する。 (1)「乳牛における2型ケトーシス予備群の実態調査」および「予備牛の発生に関連する飼養管理上のリスク因子調査」:農場数、血液サンプル数を増やす。サンプリングした牛の分娩後の疾病調査を実施する。飼養環境要因との関連性を分析する。 (2)予備牛のリポタンパク質レベルでの病態分析と疾病発生対策:疾病発生対策の投与牛の数が少ないので現在の対象の2農場にて継続実施する。なお、リポタンパク質分析では、血清からの分画に多くの時間を費やしたので、これから本格的に構成成分濃度の測定に取りかかるところである。
|
Causes of Carryover |
理由:年度のフィールド試験では上述の様に予定どおりに農場数が確保できなかったので、分析すべき血液サンプルが少なくなったこと、またコロナ禍でのまん延防止対策によって実際の出張ができなくなり旅費が少なくなったことにより直接経費の執行が滞った。なお、リポタンパク質の分画までは行ったが、各構成成分分析までは十分に実施できなかったので、その分の分析費用の支出がされていない。 使用計画:次年度においては、前年度に実施できなかったサンプル分析や農場調査等に使用する計画である。
|