2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K05928
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
高須 伸二 国立医薬品食品衛生研究所, 病理部, 主任研究官 (00597891)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝臓 / ラット / SOX9 / 胆管線維症 / フラン / 胆管 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ラットに肝細胞がんと胆管がんを発生させる発がん物質であるフランが誘発する肝前がん病変の中にSOX9やCK19などを発現する胆管上皮様の特徴を有する細胞が混在し、このような特徴を有する細胞は胆管がんが発生しない発がん物質では存在しないこと、そしてラット胆管がんの前がん病変である胆管線維症の周囲に形態学的には成熟した肝細胞であるにも関わらずSOX9を発現する細胞が出現することに着目し、発がん過程において出現するSOX9発現肝細胞の生物学的特徴や細胞動態を検証することで、胆管がんの発生過程におけるSOX9発現肝細胞の意義を解明し、発がん機序を理解することを目的とする。本年度は、胆管がん発生過程におけるSOX9発現肝細胞の動態を検討する目的で、フラン投与後のラット肝臓におけるSOX9発現肝細胞の動態を経時的に検討した。フラン投与後の肝臓を経時的に観察した結果、ごく早期において肝細胞の壊死が認められ、その後に線維化、胆管増生および胆管線維症の発生が認められた。SOX9陽性肝細胞は胆管線維症や胆管増生が認められる前のごく早期から肝傷害部位周囲に認められ、胆管線維症の進展に伴い増加する傾向が認められた。一方、非病変部においてSOX9陽性肝細胞は認められなかった。今後、SOX9発現肝細胞の生物学的特徴を明らかにする目的で、肝細胞や胆管上皮細胞マーカー等の発現を解析し、SOX9発現肝細胞の分化状態ならびに細胞動態を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は胆管がん発生過程におけるSOX9発現肝細胞の動態を検討する目的で、フラン投与後のラット肝臓におけるSOX9発現肝細胞を経時的に検討した。一方、SOX9発現肝細胞の胆管がんの起源細胞としての可能性を検証することを目的として、ラット肝細胞にSOX9を発現させるin vivo遺伝子導入法の検討を開始したが解決すべき課題も認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
SOX9発現肝細胞は胆管線維症や胆管増生が認められる前のごく早期から肝障害部位の周囲に認められ、胆管線維症の進展に従い増加する傾向が認められ一方、非病変部においてSOX9陽性肝細胞は認められなかったことから、フラン誘発胆管病変の発生に関与する可能性が疑われた。今後、認められたSOX9発現肝細胞について細胞分化マーカー等の発現を免疫組織化悪的に検討することで、SOX9発現肝細胞のSOX9発現肝細胞の分化状態ならびに細胞動態を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究において一部解決すべき課題があったため、当該年度の成果および計画の進捗状況を考慮して次年度以降に合わせて検討する。
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