2021 Fiscal Year Research-status Report
Molecular function of RNA binding protein of endogenous retroviruses
Project/Area Number |
21K05930
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
仲屋 友喜 自治医科大学, 医学部, 助教 (00713562)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 内在性レトロウイルス / がん / 組織特異的 |
Outline of Annual Research Achievements |
特定の内在性レトロウイルスの核外輸送タンパク質Recの発現状態を比較検討するため、様々な組織由来の細胞株からRNAを抽出し、RT-PCRを実施した。Recは組織間で普遍的に発現していたが、ある組織由来細胞株においてのみ、Recとは異なる特異的な転写産物のバンドが検出された。当転写産物をクローニングし、サンガーシーケンス解析を行ったところ、これまでに報告のないアミノ酸配列を有する、タンパク質ERVP-Xがコードされていた。ERVP-Xは、Recに類似の配列であった。エピトープタグを付加したERVP-Xを発現ベクターに組込み、293T細胞に導入後、エピトープタグに対するウエスタンブロットを行ったところ、ERVP-Xが発現した。しかし、検出された分子量は予想されたものよりもやや小さかったため、未知のプロセシングを受けているのではないかと考えられる。さらに、ERVP-Xを産生する内在性レトロウイルスの遺伝子座を特定するため、BLAST解析を行ったところ、ERVP-Xは単一コピーの内在性レトロウイルスに由来することが明らかとなった。 ERVP-Xに特異的なプライマー配列を設計し、リアルタイムRT-PCRによる定量系を確立した。当定量系を用いて、がん細胞と正常細胞でのERVP-Xの発現量を比較したところ、ERVP-Xは正常細胞で顕著に高い発現を呈していた。そこで、がん細胞にERVP-Xを安定発現させ、その特徴づけを行ったところ、細胞性質が変化した。 以上のことから、ERVP-Xは細胞の生理学的機能に関連する機能を有することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、内在性レトロウイルス由来核外輸送タンパク質の、生理学的機能や意義を解明することを目的とする。当初の計画では、既知核外輸送タンパク質の解析のみを行う予定であったが、解析を進める中で、核外輸送タンパク質様配列を有する、新たな因子ERVP-Xを同定するに至った。ERVP-Xの役割の全容は未解明であるが、現在得られているデータから、生命科学分野において、極めて重要な意義を有するものであると考えられる。当該意義を明らかにすることは、当初予定していた計画に比し、基礎と応用を含めた学術分野の発展に大きく貢献するものである。ゆえに、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ERVP-Xの詳細な機能解析を行うため、細胞分子生物学的手法やハイスループット解析法を用いた特徴づけを行う。また、実組織中での発現についても解析する。
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