2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K05938
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
今村 守一 宮崎大学, 医学部, 准教授 (10391442)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩丸 祥史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, グループ長補佐 (20355142)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | BSE / プリオン / 試験管内増幅 / PMCA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、L型・H型BSEおよび定型・非定型スクレイピー、シカ慢性消耗病(CWD)プリオンを鋳型とし、ヒツジおよびウシ正常プリオン蛋白質(PrPC)を発現する形質転換マウス脳乳剤を基質として、異なる動物種に由来する鋳型と基質の組み合わせで試験管内増幅 (Protein Misfolding Cyclic Amplificaiton; PMCA)を行った。H 型BSEおよび定型スクレイピープリオンを鋳型として、それぞれヒツジPrPC発現マウス(TgOv)およびウシPrPC発現マウス(TgBo)脳乳剤を基質としてPMCAを行った結果、プリオンの生化学的特徴であるプロテアーゼK抵抗性PrP (PrPres)への変換が認められた。同様にCWDプリオンを鋳型とした場合、TgOvおよびTgBo脳乳剤からPrPresが増幅した。一方、L型BSEおよび非定型スクレイピープリオンについてそれぞれTgOvおよびTgBo脳乳剤を基質としてPMCAを行ったが、PrPresの増幅は認められなかった。生成したPrPresについて生化学的性状解析を行ったところ、H-BSEプリオンを鋳型、TgOv脳乳剤を基質にしてPMCAを行った場合、3種類の異なるPrPresが増幅し、そのうちのひとつは定型BSEプリオンを鋳型として増幅したPrPresと非常によく似ていた。 さらに、昆虫細胞発現系で産生した組換えウシPrPを基質として鋳型非存在下でPrPresの自発生成が起こるかを調べた。その結果、ウエスタンブロッティングによるバンドパターンが異なる複数のPrPresの増幅が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5種類の偶蹄目由来プリオンを鋳型とし、TgOvおよびTgBoマウス脳乳剤を基質として異種間PMCAを行ったところ、6種類の組み合わせのうち、4種類でPrPresの増幅が認められたが、L-型BSEプリオンーヒツジPrPC、非定型スクレイピープリオンーウシPrPCの組み合わせではPrPresの増幅に成功していない。そのため、現在非定型スクレイピープリオンを鋳型、ウシPrPCを基質としたPMCAを行い、PrPresの増幅を試みている。一方、ウシ組換えPrPからの組換えPrPresの自発生成には成功した。現在増幅したPrPresについて生化学的性状解析を進めている。研究はほぼ計画通りに進んでいるが、非定型スクレイピープリオンを鋳型とした試験管増幅およぎ増幅した各PrPresの生化学的性状解析は必ずしも進んでいないため、おおむね順調に進展しているとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
おおむね研究は計画通りに進んでいるため、当初の方向性で研究を進めていく予定である。具体的には、PrPresの増幅に成功していない、非定型スクレイピープリオンのウシPrPCによるPrPresの増幅を試みる。さらに、増幅したPrPresの生化学的性状解析を行い、定型BSEプリオンに似た性状をもつPrPresの特定を行う。定型BSEプリオンに似た性状をもつPrPresについてTgBoマウスに脳内接種し、感染性および定型BSEプリオンと同様の性状を持つか否かを調べる。
|
Causes of Carryover |
今年度効率的な物品・試薬購入を心がけ、物品・試薬を節約つかったため、物品費を抑制できた。また論文掲載料が予定より少額だったことも一因である。
|
Research Products
(2 results)