2021 Fiscal Year Research-status Report
Studies on expressions and roles of INSL3 secretory dynamics and its receptor expression in reproductive organs and germ cells in female cattle
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21K05939
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川手 憲俊 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (80221901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 亮 鳥取大学, 農学部, 准教授 (20704901)
原山 洋 神戸大学, 農学研究科, 教授 (30281140)
古山 敬祐 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 講師 (50611026)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | INSL3 / 雌ウシ / 卵胞 / 黄体 / 卵胞嚢腫 / 蛍光免疫測定法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、1)ウシの発情周期の主席卵胞と黄体および卵胞嚢腫のINSL3分泌能を調べることを目的とし、主席卵胞と嚢腫卵胞の卵胞液および黄体組織のINSL3と性ステロイド(テストステロン、エストラジオール-17β、プロジェステロン)量を解析するとともに、培養黄体細胞からのINSL3とプロジェステロンの分泌能を分析した。同時に、2)正常雌ウシと卵胞嚢腫牛の血中INSL3濃度の動態を解明するために、雌ウシの血中INSL3濃度を測定できるサンドイッチ時間分解蛍光免疫測定(TRFIA)法の開発に取り組んだ。 1)については、食肉処理場において雌ウシの卵巣を採取し、発情周期中の主席卵胞の卵胞液と黄体の黄体組織のINSL3と性ステロイド量を測定した。その結果、主席卵胞のINSL3分泌はその成熟にともなって増加することが示唆された。卵胞のテストステロンとエストラジオール-17β量は卵胞の嚢腫化により低下するが、INSL3量は増加することが示唆された。黄体組織のINSL3とプロジェステロン含量はその開花期に増加することが示された。一方、黄体から黄体細胞を分離して培養し、培養液のINSL3濃度を測定した結果、INSL3分泌能は開花期に上昇するが、その分泌は黄体形成ホルモン(LH)に依存しないことが示された。 2)については、サンドイッチTRFIA法に必要な検出用の抗ウシINSL3ペプチド抗体を作成し、そのビオチン標識を実施した。さらに補足用ウシINSL3抗体、ウシINSL3標準品、ビオチン標識検出用抗体およびユーロピウム標識ストレプトアビジンを用いてサンドイッチTRFIAの測定法の諸条件の検討を行った。その結果、最小検出濃度が0.1 ng/mLの高感度測定法を確立することができた。雌ウシ血漿サンプルを本法で測定したところ、血中INSL3濃度を無抽出で測定できることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の当初の目標は、1)ウシの発情周期の主席卵胞と黄体および卵胞嚢腫のINSL3分泌能の解析、および2)ウシINSL3のサンドイッチ免疫測定法の確立、であった。上記の研究実績で示したように、これら2つの目標は達成したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降の推進方策については、当初の予定通りに、2)の正常雌ウシと卵胞嚢腫牛の血中INSL3濃度の動態解析を継続するとともに、3)の雌ウシ生殖器におけるINSL3受容体の発現解析、および4)の雌ウシ生殖器と精子・卵子におけるINSL3の役割解明、の研究を行う。2022年度には、2)の継続として正常発情周期の雌ウシおよび卵胞嚢腫牛の血液サンプルを採取し、2021年度に確立したサンドイッチTRFIA法を用いて、それらのウシの血漿INSL3濃度を測定して、発情周期中の動態および嚢腫牛の末梢血中INSL3濃度を調べる。3)については、INSL3受容体発現解析に必要な雌ウシ生殖器材料の入手・保存を開始し、同時にINSL3受容体の解析技術(リアルタイムPCRによるmRNA定量、免疫組織化学検査、INSL3結合量解析)の検討に着手する。4)については、精子のINSL3受容体発現部位を同定するとともに、INSL3の精子運動性および受精能における役割を解明する実験を行う。
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Research Products
(6 results)