2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of new technology to improve conception rate after artificial insemination using frozen dog semen
Project/Area Number |
21K05945
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
堀 達也 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (80277665)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 犬 / 凍結精液 / 人工授精 / 精液希釈液 / 精子運動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般的に精液希釈液には20%の卵黄が含まれている。卵黄は精子を保護し凍結処理によるダメージを軽減する役割を持っているが、精子の代謝を阻害する作用も持っている。そこで、当研究室で使用している精液希釈液(EYT-FC)の最適な卵黄濃度を明らかにするための実験を行った。 最初に、異なる卵黄濃度(5、10、20%)を含むEYT-FCを新たに作成し、犬凍結精液を作成して融解後の精液性状を比較した。その結果、融解後の精子活力、精子生存率および正常精子アクロソーム保有率は有意差がみられなかったが、20%卵黄群が他群に比較して最も高値を示した。また精子奇形率は20%卵黄群が他群に比較して有意に低値を示した。本研究室の凍結精液には界面活性剤であるOrvus ES paste(OEP)を使用している。OEPは卵黄成分と結合することで精子アクロソームを保護し、凍結融解後のダメージを軽減することができるが、同時に殺精子効果を持っているため高濃度で使用すると精液性状に影響を及ぼす可能性が考えられる。そのため、卵黄濃度が低いものではOEP濃度が高濃度になってしまったことから、20%卵黄群よりも低値を示したものと考えられた。 そのため、次に各精液希釈液の最終OEP濃度を卵黄濃度に合わせて調整して凍結精液を作成し、融解後の性状を比較した。その結果、精子活力と精子生存率についてはやはり20%卵黄群が最も高値を示した。精子奇形率も20%卵黄群が他群に比較して有意に低値を示した。また、OEP量が少なかった5%および10%卵黄群に関しては、融解後6時間の正常精子アクロソーム保有率が有意に低値を示し、OEP量が少なくなったことで、精子保護作用が低下したことが明らかとなった。 これらの結果から、本研究室で使用しているEYT-FCの最適卵黄濃度は20%が最も良いことが改めて確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、当研究の目的の1つである凍結融解後の精液性状を向上させるための凍結方法の検討を行ったが、それほど融解後の精液性状を向上させることができなかった。しかし、今回の実験にて、これまで使用していた精液希釈液には問題が無かったことが明らかとなったため、有用な研究であったと考える。 しかし、凍結方法の改良よりは、昨年度に行っていた融解液の開発の研究の方が、融解後の精液性状を向上させることに直接的に有用な影響を与えることができると考えられる。これまで独自の融解液の開発について、2つの精子活性物質をベースとした独自の融解液の検討を行ったが、それ以外の成分については、検討を行っていない。そのため、現在は、これについて追加の研究を行い進行している。したがって、当初の研究計画よりは、少し遅れてしまっていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に行う実験の1つとして、犬凍結精液の新しい作成方法であるクライオチューブ法を検討することを予定している。この方法は、精液の保管方法についてはやや問題があるが、従来のストロー法よりも簡便で、かつ融解後の精液性状を向上させることが可能な方法と考えている。また、令和3年度に行っていた凍結精液の融解後の性状を向上させる融解液の検討に関する研究の続きを令和5年度に行うことを計画している。この時、融解液に添加する物質として、以前に検討したもの以外の物質添加の検討、またはそれに添加した影響についても検討することを予定している。なお、これらの検討には、以前行うことができなかった精子の運動性を客観的に評価するための精子運動解析装置による精子運動性のデータ(精子の直線速度、曲線速度、頭部振幅、頭部振動数など)による解析を行うことを予定としている。 また当初の計画では、令和3年度に備品として硬性鏡であるHOPKINS II テレスコープ30 3.5mmカールストルツ・ エンドスコピー・ジャパン株式会社)を購入する予定であったが、前述した精子の運動性の評価に必要な精子運動解析装置が研究結果の解析に必要と考え、その装置で使用する消耗備品(マクラチャンバー)の購入にその費用を使用することに変更していた。しかし、研究の進行状況および予算残額の状況によって、令和5年度において硬性鏡の購入を再検討しつつ、子宮内人工授精の研究を行うことも計画している。
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Causes of Carryover |
当初の計画で購入予定であった備品である硬性鏡であるHOPKINS II テレスコープ30 3.5mmカールストルツ・ エンドスコピー・ジャパン株式会社)を今年度の実験の進行状況から購入することを延期し、消耗品の購入だけを行っていた。そのため、残額が残っている。この残額については、翌年度に硬性鏡の購入について計画している。
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