2021 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive genetic analysis-based liquid biopsy for establishment of the novel tumor biomarker in dog
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21K05952
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
田川 道人 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (00749468)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 悪性黒色腫 / メラノーマ / cell free DNA / リアルタイムPCR / 全ゲノム解析 / バイオインフォマティクス / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
犬悪性黒色腫症例より得た腫瘍組織と、同一症例の末梢血液より得たPBMCよりDNAを抽出し、両者をKOTAI社に送付し全ゲノム解析を行った。両者の遺伝子配列は犬の全ゲノム(CanFam 3.1 genome (GCF_000002285.3_CanFam3.1) )に対してアノテーションを行い配列を決定した。続いて、腫瘍組織とPBMCの遺伝子配列を比較し、腫瘍組織に特異的な変異の解析を行ったところアミノ酸配列に影響を与える変異を104か所に認めた。ミスセンス変異が74か所、フレームシフトが27か所、ストップコドンが2か所、その他1か所であり、様々な染色体上に変異が確認されたが、腫瘍化に関連すると思われる遺伝子変異はみられなかった。 続いて、本学に来院し悪性黒色腫と診断された犬12頭(stage1 n=2、stage2 n=6、stage3 n=2、stage4 n=2)より末梢血液を採取し血漿を分離後、MagMax cellfree DNA isolation kitを用いてcellfree DNAを抽出した。得られたcellfree DNAに対し、LINE-1遺伝子を標的としたリアルタイムPCRを実施しDNA量の定量を行った。その結果、悪性黒色腫症例のcellfree DNA濃度は健常犬と比較し明らかな上昇はみられずステージごとの関連も見られなかった。また一部の症例では経時的に採血を実施し、症例の臨床経過との比較を行ったところ、腫瘍再発や進行時にcellfree DNA量の上昇が観察されたが、腫瘍の進行に遅れて上昇する傾向がみられ、早期診断マーカーとしての利用は困難であると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナによる受け入れ症例数の減少や当方の異動と重なり十分な検討が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
cellfree DNA単独では悪性黒色腫の臨床経過を正確に判断することは困難であると思われる。今後は、全ゲノム解析により明らかとなった腫瘍特異的な遺伝子変異の中からいくつかの変異をピックアップし、その変異が末梢血液中で確認可能なのか検討を行う予定である。さらに、悪性黒色腫の他症例においても同一の変異がみられるか、腫瘍組織のパラフィン包埋ブロックより得たDNAを用いて解析を行い、広くマーカーとして使用できるか評価する。
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Causes of Carryover |
コロナ渦によって十分な実験計画の進行が困難でありまた異動と重なったことにより支出額が大きく低下した。 翌年度についても異動の影響はあると思われるが、積極的に研究を進める予定である。
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