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2022 Fiscal Year Research-status Report

頸動脈小体の感覚性長期増強反応および低酸素適応反応におけるシナプス可塑性の役割

Research Project

Project/Area Number 21K05953
Research InstitutionIwate University

Principal Investigator

山本 欣郎  岩手大学, 農学部, 教授 (10252123)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords頸動脈小体 / 低酸素 / シナプス可塑性 / ラット
Outline of Annual Research Achievements

前年度に引き続き、頸動脈小体化学受容細胞および感覚神経終末における小胞分泌関連タンパク質の解析を行った。頸動脈小体の化学受容細胞にはCAMK2β、γおよびδが、感覚神経終末にはCAMK2βおよびγが存在することに加え、化学受容細胞および感覚神経終末ともに細胞外シグナル制御キナーゼ1および2(ERK1/2)が存在することを見出した。ERKの阻害により化学受容細胞の低酸素受容能が低下することが報告されていることから、ERKはCAMK2に加えて頸動脈小体のシグナル調節分子の候補であると考えられる。さらに、神経終末にはリン酸化ERK、シナプシンⅠ、リン酸化シナプシンⅠが認められることがわかった。このことから、頸動脈小体内ではキナーゼ活性の調節によって低酸素に対する反応性を調節することが予測された。
間歇低酸素暴露の実験においては、短期間の暴露に加えて、4週間(1日あたり5分間に1回5%O2を8時間)の間歇低酸素暴露実験を行った。実験群ではCAMK2、ERK1/2の変化は明らかではなかったが、細胞全体に強いリン酸化ERK陽性反応を示す化学受容細胞が増加した。以上の結果から、低酸素暴露によりCBの化学受容細胞においてERK1/2のリン酸化による活性化が生じるとともに、核移行する分子が増加することがわかった。ERKの活性増強により、頸動脈小体内の受容体輸送、小胞分泌、タンパク質の合成が促進されている可能性がある。また、リン酸化シナプシン抗体に対する陽性反応は、コントロール群では化学受容細胞との接触面に局在するのに対し、間歇低酸素暴露では神経終末全体に分布域が拡がることが観察された。シナプシンのリン酸化により、リザーブプールから分泌小胞の解離が生じていることが示唆された。神経終末の小胞には小胞性グルタミン輸送体2が存在することが知られており、感覚神経終末におけるグルタミン放出が間歇低酸素暴露の際の頸動脈洞枝の活動亢進に関与する可能性がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

間歇低酸素暴露のモデル動物、持続暴露のモデル動物を作製する環境は整ったので、常時モデル動物を作成できるようになった。現在は、頸動脈小体の感覚神経終末における間歇低酸素暴露時のリン酸化シナプシンの変化を検索している。
モデル動物の材料における、キナーゼ、小胞分子(小胞性グルタミン酸トランスポーター2、小胞性モノアミントランスポーター2)、受容体分子(P2X3-ATP受容体、ドーパミンD2受容体)等の暴露後の変化を検討中で、順調に進んでいる。
また、電子顕微鏡解析の解析技術は喉頭および頸動脈洞の材料を用いて連続切片による立体再構築の手法を確立したので、暴露実験を行った頸動脈小体での解析を開始している。

Strategy for Future Research Activity

引き続き、低酸素暴露により感覚性長期増強モデルラットおよび低酸素適応モデルラットを作製する。モデルラットの材料から頸動脈小体等を採取し、免疫組織化学的検索、電子顕微鏡的検索(化学受容細胞、神経終末、シナプス構造等の微細構造)、生理学的検索(血圧変化、頸動脈洞枝の低酸素応答発火頻度)を行い、各モデルラットの特徴を捉える。特に、生理学的実験では満足な結果が得られていないので、血圧変化、頸動脈洞枝の低酸素応答発火頻度により、モデルラットの生理学的特徴を明らかにしたい。

Causes of Carryover

全体の実験はほぼ計画通り進んでいるが、暴露実験の計画が少し遅れておりラットを次年度に購入することとした。

  • Research Products

    (4 results)

All 2022

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] ラット喉頭蓋に分布する葉状神経終末の微細構造2022

    • Author(s)
      山本欣郎、佐々木邦明、小室岬、横山拓矢、中牟田信明
    • Organizer
      第165回日本獣医学会学術集会(Web開催)
  • [Presentation] ラット頸動脈小体におけるExtracellular signal-Regurated kinases (ERK1, ERK2)の分布2022

    • Author(s)
      斎藤優気、中牟田信明、山本欣郎
    • Organizer
      第68回日本解剖学会東北・北海道連合支部学術集会,(札幌・ハイブリッド)
  • [Presentation] ラット頸動脈洞における感覚神経終末の微細構造2022

    • Author(s)
      山本欣郎、村上侑亮、佐々木邦明、小室岬、Abdali Sayed Scharif、横山拓矢、中牟田信明
    • Organizer
      第128回日本解剖学会総会・全国学術集会(仙台)
  • [Presentation] 慢性間歇低酸素刺激によるラット頸動脈小体におけるリン酸化ERK1/2の変化2022

    • Author(s)
      斎藤優気、中牟田信明、山本欣郎
    • Organizer
      第128回日本解剖学会総会・全国学術集会(仙台)

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Published: 2023-12-25  

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