2023 Fiscal Year Annual Research Report
頸動脈小体の感覚性長期増強反応および低酸素適応反応におけるシナプス可塑性の役割
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21K05953
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山本 欣郎 岩手大学, 農学部, 教授 (10252123)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 頸動脈小体 / 低酸素 / シナプス可塑性 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
頸動脈小体におけるシナプス長期増強機構を検討するために、シナプス長期増強モデル動物の作成、シナプスの電子顕微鏡的検索法の確立を行うとともに、シナプス調節タンパク質であるカルモジュリン依存性タンパク質キナーゼ2(CAMK2)、細胞外シグナル制御キナーゼ1/2(ERK1/2)、カンナビノイド受容体1/2(CB1、CB2)の発現と分布を多重蛍光抗体法により共焦点顕微鏡を用いて調べた。モデル動物の作成は、窒素発生装置とエアコンプレッサーの使用により、1時間あたり12回の低酸素(5%O2、15秒間)による刺激となるように窒素の通気時間を調節できる装置を作製し、シナプス増強を示す慢性間歇低酸素曝露を行うモデルラットを作成できるようになった。電子顕微鏡による検索法の開発では、連続超薄切片を用いた反射電子走査型顕微鏡による立体再構築法を確立し、神経終末のコンピュータ立体モデルの提示を行った。シナプス調節タンパク質の発現解析では、化学受容細胞にはCAMK2γおよびδ、ERK1/2、CB1、CB2が、化学受容細胞にシナプスする感覚神経終末にはCAMK2βおよびγ、ERK1/2、CB1などが存在することが分かった。また、モデル動物では、神経終末における陽性反応の増強が認められた。感覚神経終末における強い陽性反応部位には、小胞性グルタミン酸輸送体(VGLUT2)、シナプシンも共存しており、感覚神経終末の小胞放出調節がシナプス長期増強機構・長期抑制作用に関与することを示唆した。
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