2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of a novel regulatory mechanism by interleukin-19 in the pancreatic immune system
Project/Area Number |
21K05959
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
東 泰孝 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (50298816)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | IL-19 / 急性膵炎 / L-アルギニン / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、急性壊死性膵炎モデルを用いて解析した。野生型マウス(WT)およびIL-19遺伝子欠損マウス(KO)を、L-アルギニンを、4.5 g/kgを1時間間隔で2回腹腔内投与により膵炎モデルを誘発させた。3日後に心採血により血清の採取を行い、膵臓を採材した。血清は膵組織傷害マーカーであるアミラーゼ測定に供した。膵組織はHE染色、免疫染色による組織学的評価、および定量リアルタイムPCRによるmRNA発現量解析に供した。 血清アミラーゼ値は、WTに比べてKOで有意な増加が認められた。HE染色を施した組織像を用いて、膵組織傷害と炎症を評価するために炎症細胞浸潤、膵腺房細胞の壊死、および間質性水腫についてそれぞれ4段階でスコアリングを行った。炎症細胞浸潤と膵腺房細胞の壊死については両群間に差は認められなかったが、間質性水腫では、有意ではないもののKOでスコアの増加が認められた。次に、血清アミラーゼ値とスコアの相関を調べたところ、WTでは2つの要素に相関はみられなかったが、KOでは有意な相関が認められた。続いて、炎症性サイトカインのIL-6 mRNA発現量は有意でないがWTに比べてKOで増加傾向がみられ、TNF-a mRNA発現量は有意な増加がみられた。さらに、IL-19のmRNA発現量を調べた結果、WTでは未処置群とL-アルギニン投与群のどちらにおいても発現が認められたが、IL-19の発現量については明確な差はみられなかった。膵炎の発症に関与することが報告されているオートファジー関連因子であるLC3Bおよびp62について免疫染色により評価した結果、両因子ともにWTとIL-19 KOの間で顕著な差はみられなかった。以上の結果より、膵炎発症に際してIL-19は保護的に働く可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去2年度においては、慢性膵炎モデルの解析で少々思うように進行はしていなかったものの、L-アルギニンを用いた急性膵炎モデルにおいて、IL-19遺伝子欠損マウスを用いた解析により、表現系の相違を見いだすことができた。本結果よりIL-19は急性炎症において、抗炎症作用を有する可能性を示すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
急性膵炎は種々の原因により生じる疾患であることから、最終年度は、L-アルギニンとは別の機序によるセルレイン誘発性急性膵炎モデルを用いて、IL-19の機能的役割を明らかにしたい。
|
Causes of Carryover |
今年度分の実験計画においては、使用計画通りに経費を執行できた。初年度と2年度目の実験計画に遅れが生じた分、次年度に経費を繰り越している。最終年度においては、計画以上に実験を進行させる予定である。
|